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カッティングガーデンとは|切り花になる花23種。収穫、生け方、飾り方のコツ【冬~初夏編】

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金子三保子

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庭やベランダにカッティングガーデンを作って、育てた花を部屋にも飾って楽しみませんか。カッティングガーデンに向く花や、収穫のコツ、切り花の扱い方をご紹介します。

目次

カッティングガーデンとは?

原種アネモネ

カッティングガーデン Cutting gardenとは、切り花用の庭や花壇のこと。切り花として収穫するために育てるスペースは、庭だけでなく、ベランダでも作ることができます。

私自身、園芸に夢中になったのは、「育てた花を生けたいな」と思ったことがきっかけでした。庭で育てて眺めるだけでなく、部屋に飾って楽しむことを目的で育てると、植物のフォルムや色の見方が変わってきます。

すべて育てた花でなくても、花屋さんで買った花と育てた花を合わせたり……。脇役になる葉ものや草花が身近にあると、花あしらいのバリエーションが豊かになります。

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カッティングガーデン向きの花とは|収穫のポイントと切り花の扱い方

カッティングガーデン

カッティングガーデン向きの花

①ワンシーズンでたくさん咲く

1本の茎に1つの花が咲く花(例・チューリップ)より、枝分かれして、ワンシーズンでたくさんの花が咲く花は、惜しみなくカットすることができます。

②数日間、開花し続ける

一日花は、生けた翌日には花がしぼんでしまうため、切り花向きではありません。最低でも数日、同じ花が開花し続ける花が切り花向きです。

③花もちが良く、水が下がりにくい

「土で育てると数日咲き続けるのに、水に生けると日持ちしない」もしくは「水が落ちやすい花」があります。また、収穫するタイミングによって、同じ花でも日持ちに差があるものも。

①~③に関して、後述のおすすめの花の中で、それぞれの特徴や扱い方を紹介します。

収穫のポイント

カッティングガーデン

収穫の時間帯

植物には、水分を蓄える時間帯と蒸散する時間帯があります。植物の多くは、昼間は水分を発散する時間帯です。収穫するなら、朝か夕方にしましょう。それだけで水の上がりや日持ちに違いが出ます。

収穫する位置

株元から茎が立ち上がり、頂点に花を咲かせるような花は、その茎の付け根でカット。1本の茎が枝分かれしている花は、これから咲くつぼみまで切らないように注意しましょう。

花数が多い大株ならどこで切っても問題ありませんが、「庭も美しく、部屋にも飾りたい」なら、次のつぼみを切るか、切らないかは重要です。

水あげは必要?

私の場合
市場で仕入れる花は、購入したらまず「水あげ処理」を行います。最もスタンダードな水あげは、余分な葉を取り除き、茎を斜めに切ってから新聞紙で花をくるみ、たっぷり水を入れたバケツの中で数時間、吸水させる方法です。

一方、育てた花は、収穫したらすぐに水をいれたバケツに入れて、しばらく給水させてから生けています。水が下がっていないため、新聞紙を使った水あげはしなくても大丈夫。収穫に適した時間帯にカットすれば、ほとんどの草花はすぐに生けることができます。

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素敵に見えて手入れが簡単な花あしらいにするには?

花瓶選び

カッティングガーデン

花瓶だけが、花を生ける器ではありません。水漏れの心配がないものなら、なんでも花瓶にできます。ワインやジャムのボトル、コップ、コーヒーカップ、ピッチャー、カフェオレボウル……。暮らしの花は、自由にいろいろな器に生けて楽しみましょう。

まずは一輪ずつ生けてみよう

切り花図鑑

花を組み合わせて生けるのは、最初はハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。難しいなと感じたら、ひとつの器に1種ずつ生けて、複数の花瓶を並べて楽しむのもおすすめ。複数を組み合わせると、枯れてきた花から抜いて、生けなおす必要があります。1種生けは、枯れた花だけを処分して次の花に交換しやすいため、メンテナンスが楽。並べてみたり、前後に配置したり、花瓶の置く位置を変えるだけで、見え方が変わります。忙しい毎日でも、1種生けなら手軽に花のある暮らしを楽しめます。

はじめて花瓶を買うなら、口の狭い花瓶の方が少ない本数でも花が安定しやすいので、おすすめです。

慣れてきたら色合わせ、花合わせを意識しよう

カッティングガーデン

白を意識した花あしらい

少し慣れてきたら、色に注目してみましょう。白と言っても、純白もあれば、グリーンがかった白、黄味が強い白などさまざま。多くの花は、花びらの中心にしべがある構造なので、しべの色によっても見え方が違います。好みの色合いの苗を選んだり、色合わせを考えながら生けるのも楽しいひとときです。

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カッティングガーデンにおすすめの花|冬~初夏編

パンジー・ビオラ

ビオラ寄せ植え

本来は春の花ですが、最近は10月に入ると苗が出回り始め、花がら摘みをこまめにすると5月くらいまで楽しめます。草丈が低いので、小さな花瓶やボトルに生けたり、花だけを浮かべて楽しむのもおすすめ。最近は、花あしらいしやすいように意識して育種されたステム(茎)の長い品種もあります。

▼パンジー・ビオラの育て方

クリスマスローズ

クリスマスローズ白

種類によって、冬に咲くもの、春に咲くものなど、開花期間が長い花です。クリスマスローズは水が落ちやすいと言われている部類の花で、市場で仕入れたものは湯上げという方法で水あげをしています。この水が落ちやすいのは、中心のしべがついている咲き始めの状態のときです。

 

カッティングガーデン クリスマスローズ

私たちが花びらと思っているのは、実はガク。しべが落ちて、ガクに厚みが出てきた状態のクリスマスローズは、とても日持ちのする花材になります。カッティングガーデンでは、「しべが落ちて色合いが好みのとき」にカットします。この状態だと、冬なら1か月近く持つこともあります。

▼クリスマスローズの育て方

ラナンキュラス・ラックス

植えっぱなし球根 ラナンキュラス・ラックス3

ラナンキュラスは苗の状態でも流通量が多く、冬から春まで複数の花が咲くので、切り花にも利用できます。中でもカッティングガーデンにおすすめなのは、ラナンキュラス ラックス。宮崎県の綾園芸さんが、異種間交配によって作出した新しいラナンキュラスです。一般的なラナンキュラスより草丈が高く、スプレー咲きでたくさんの花が楽しめ、環境があえば宿根草として植えっぱなしで管理できます。つぼみまでよく開くので、花あしらいには大活躍です。

▼ラナンキュラス ラックスの育て方

アネモネ

アネモネフルゲンス

切り花の流通量も多いアネモネ。最近はカラーバリエーションが豊富になり、小輪から大輪まで、花のサイズもいろいろとあります。

 

アネモネ_アンアリス

一重咲きのほか、写真のような八重咲き種もあります。

▼アネモネの育て方

ワスレナグサ

ワスレナグサ

透明感のある水色の花のワスレナグサは、切り花としての流通もあります。

苗の多くは草丈が短いものが多いですが、「ブルームッツ」は高性に改良された品種で、カッティングガーデン向きです。

 

カッティングガーデン

ネモフィラとワスレナグサ

春はかわいい水色系の小花が多い季節です。きゃしゃな花をカジュアルな雑貨にあしらうのもおすすめです。

▼ワスレナグサの育て方

プリムラ

プリムラ

プリムラは、とても種類が豊富な草花。高温多湿に弱いものが多いため、本来は多年草のものでも一年草として扱われることがあります。カッティングガーデンには、写真のようにステムが長いものがおすすめ。

 

プリムラ

色や咲き方がとにかく豊富。発色の良い色からシックなトーン、複色のニュアンス系など。豊富な色合いは、花あしらいが楽しくなります。

▼プリムラの育て方

アルメリア

アルメリア

アルメリアは、小さな花が集まって球状のような形の多年草。切り花向きの高性種もあります。かさかさした質感の花は、ドライフラワーにもおすすめです。

▼アルメリアの育て方

ストロベリーキャンドル

ストロベリーキャンドル

ストロベリーキャンドルは、4月~6月にいちごを逆さにしたようなかわいらしい形の花を咲かせます。緑肥として畑に植える花としてもよく使われます。

▼ストロベリーキャンドルの育て方

ルナリア

ルナリア 花

ルナリアは、春から初夏にかけて紫や白の花を咲かせるアブラナ科の二年草。種から育てると、開花するまでに2年かかります。

 

ルナリア

ルナリアの魅力は、花だけでなく、種が入るさやにもあります。写真は開花中の花と緑のさやが両方ある状態。

 

ルナリア

緑のさやが茶色くなったら、さやの両側を指でこすり取ると、さやの中にあった「間仕切り」が残ります。艶のある白い間仕切りは、長持ちするドライフラワーに。

普通の草花は、花がらをこまめに摘み取り、なるべく種をつけないようにしてたくさんの花を咲かせますが、このルナリアは種まで楽しみたい草花です。一株でたくさんの花が咲くので、切り花として少し切りつつ、終わった花も残しておくようにしています。

▼ルナリアの育て方

オルレア

オルレア 花言葉

オルレア(オルラヤ)は、セリ科の一年草。清楚でナチュラルな雰囲気が魅力の草花です。花がらをこまめに摘んで手入れをすれば、春から初夏まで長く花を楽しめます。白いレースのような繊細な花は、さまざまな植物と調和するので、庭や花壇で活躍してくれます。開花時期がバラと重なるため、バラの下草としても人気があります。草丈が高いので、大きな花あしらいにも使えます。

▼オルレアの育て方

ポピー

アイスランドポピー

アイスランドポピー

ポピーはとても種類が多い花ですが、切り花として最も流通量が多いのは、春早くから咲き始めるアイスランドポピーです。ひとつの茎にひとつの花が咲きます。開花間際の大きく膨らんできたつぼみなら、つぼみの時点でカットしてもちゃんと開花します。

 

ヒナゲシ

シャーレーポピー

こちらは、ひなげしとも呼ばれる開花が初夏のポピーです。ひとつの茎に複数の花がつき、それぞれの開花期間は3日程度です。

 

シャーレーポピー

シャーレーポピー

最近、色幅が増えて、写真のようなグレイッシュな色も人気です。

▼ポピーの育て方

ギリア

ギリアレプタンサ

ギリア・レプタンサ

ギリアは、春から初夏に開花する一年草。いくつか種類があり、それぞれ花の見た目が違います。レプタンサは高性種で、切り花の流通も多い品種です。

 

ギリア・トリコロール

ギリア・トリコロール

レプタンサよりはきゃしゃな雰囲気のトリコロールは、30~50cm程度の草丈。茎が曲がりやすいので支柱を立てて育てます。こちらも切り花としても流通しています。英名はBird’s eyes。鳥の目みたいなかわいい小花です。

▼ギリアの育て方

アグロステンマ

アグロステンマ

アグロステンマは、ナデシコ科の一年草。草丈が高く、地植えにすると1m近くに生長します。色は、発色の良いピンク、淡いピンク、白があります。よく分枝して、次々とつぼみが開き、切り花としても流通しています。

▼アグロステンマの育て方

ヤグルマギク

ヤグルマギク

ヤグルマギクは、キク科の一年草。青をはじめ、ピンク、白、ラベンダー色、ダーク系、赤系など、色の種類が豊富です。品種によって草丈に違いがあり、カッティングガーデンなら高性種がおすすめ。

▼ヤグルマギクの育て方

カレンデュラ

カレンジュラ

カレンデュラは、キク科の一年草。昔からキンセンカの名で切り花としての流通も多い花です。よく分枝し、たくさんの花が咲くので、カッティングガーデンにもってこい。定番のオレンジ、黄色のほか、シックな色やレモンイエローなど、色幅がどんどん増えています。

▼カレンデュラの育て方

ビスカリア

ビスカリア

ビスカリアは、ナデシコ科の一年草。ゆらゆらと風に揺れながら咲く花は、楚々として優し気な雰囲気。よく分枝して、たくさんの花が咲くので、カッティングガーデンにおすすめです。

▼ビスカリアの育て方

ニゲラ

ニゲラ

独特なフォルムの花が魅力のニゲラは、キンポウゲ科の一年草。切り花としては、花以外に、種の状態でも流通しています。個性的な花姿が、魅力的な草花です。

▼ニゲラの育て方

セリンセ・マヨール

セリンセマヨール

セリンセ・マヨールは、ムラサキ科の一年草。シックで個性的な雰囲気で、切り花としても流通しています。よく分枝し、春から初夏にかけてたくさんの花が開花します。色々な植物と組み合わせがしやすく、花とグリーンの中間的役割として、花あしらいにも大活躍します。

▼セリンセ・マヨールの育て方

ラークスパー

ラークスパー

ラークスパーは、初夏にブルーや紫色の穂状の花を咲かせるキンポウゲ科の一年草。切り花としての流通も多い草花です。背丈が1mを越すものもあり、庭や花壇に植えると穂状の花が引き立ちます。ひとつひとつの花は小さく、葉のフォルムが繊細なので、楚々とした雰囲気もあります。花あしらいでは、ラインフラワーとして伸びやかさを演出してくれます。

▼ラークスパーの育て方

カモミール

カモミール

カモミールは、キク科のハーブ。春から初夏にかけて白い小花を咲かせます。カッティングガーデンに植えるなら、多年草の「ローマンカモミール」は這うように生長するのと花数が少ないため、一年草の「ジャーマンカモミール」がおすすめです。

▼カモミールの育て方

ルピナス

ルピナス・ピクシーデライト

ルピナスは、長い花穂が立ち上がるように咲く、マメ科の耐寒性多年草。春から初夏に甘い香りを漂わせ、カラフルな穂状の花が開花します。本来は多年草ですが、冷涼で乾燥した気候を好むため、ほとんどが一年草として扱われています。苗としては、早咲きに改良された品種が冬のうちから流通し、切り花の流通もあります。花色は、赤、ピンク、オレンジ、黄、青、紫、白など、バリエーション豊富。高性種をはじめ、小さなお庭や鉢植え向きの矮性品種など、草丈のバリエーションもあります。

▼ルピナスの育て方

クレマチス

クレマチス

クレマチスはとても系統が多く、それぞれの系統の中でもたくさんの品種があります。系統によって、花の形や大きさ、性質、開花時期が違います。切り花としての流通量も多く、一年を通して、いろいろな系統のクレマチスが出回っています。大輪種は華やかなので花あしらいの主役に、つぼ型などの小輪はかわいらしく楚々とした雰囲気なので脇役に。花あしらいの中でさまざまな役目をしてくれます。つる性が多く、流れを出すのにも重宝する花材です。

▼クレマチスの育て方

バラ、ミニバラ

ノイバラ

ノイバラ

切り花としても最も流通量が多い花のひとつ、バラ。切り花として流通している品種の多くは、花もちが良く、切り花用として開発されたものです。ガーデンローズ系は、それよりは日持ちはしないかもしれませんが、手塩にかけて育てた花を、お部屋に飾るのは格別な喜びとなるはずです。

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グリーンも育てよう!

カッティングガーデン

バラ、ニゲラ、ワスレナグサ、クリスマスローズ、ハーブゼラニウムの花あしらい

花だけでなく、ハーブや葉の形や色が素敵なグリーン類は、花あしらいに大活躍。例えばハーブゼラニウムは、分枝しているので花をひっかける花止めの役割をしてくれます。深緑、明るい緑、シルバーグリーン。大きな葉と小さな葉。丸い葉とギザギザな葉。色や形、大きさなど、グリーンにこだわると、花あしらいがぐんとセンスアップします。

 

クリスマスローズとヤツデの実

クリスマスローズとヤツデの実の花あしらい

花のあとにできる実もの類も花あしらいに活躍します。

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冬から初夏に咲くカッティングガーデン向きの花をご紹介しました。庭やベランダで育てた花を飾って、部屋の中に季節感を取り入れてみませんか。

 

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金子三保子

フラワーコーディネーター、フォトグラファー、ライター。 2022年6月、日東書院本社より「植物のきもち ~がんばりすぎないガーデニング」出版。 ギフトや装花などのフラワーコーディネート、自身でコーディネートした作品の撮影、雑誌や会員情報誌への提案など幅広く活動中。現在は植物に関する記事の執筆にも携わる。庭仕事はライフワーク。映画「余命1ヶ月の花嫁」ブーケ製作。

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