庭を素敵にしてくれる!つる性植物32選。特徴や選び方を花の季節ごとにご紹介
金子三保子
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庭やベランダに取り入れると、素敵な空間に見えるつる性植物。つる性植物の特徴や生長タイプ、おすすめつる性植物をご紹介します。自分の環境やライフスタイルに合ったつる性植物を選んでみてくださいね。
目次
つる性植物とは?
つる性植物とは、その植物単体で上に生長するのではなく、フェンスやトレリスや木々などの他の物に絡まりながら生長していく植物のことを言います。絡まり方は、それぞれのつる性植物によって違います。
つる性植物の生長の仕方
つる性植物は種類によって生長の仕方が違います。種類によっては誘引作業(*)が必要です。簡単に生長のタイプをご紹介します。
誘引とは?
つる性植物をフェンスや支柱などに絡ませて、生長をスムースにさせる作業のこと
1.巻きひげで絡みつくタイプ
サヤエンドウ
葉っぱが変化した「巻きひげ」で絡みついて生長する。誘引しなくても勝手に生長していくが、手をかけた方が美しく見える。例・スイートピー
2.らせん状につるが絡みついていくタイプ
つるがらせん状に絡みついて生長する。誘引しなくても勝手に生長していくが、手をかけた方が美しく見える。例・アサガオ
3.吸盤タイプ
茎から気根を出して、吸盤のように張り付きながら生長する。誘引の必要なし。例・アイビー
鉄柱にも張り付く吸盤タイプのツタ類。
4.寄りかかり(引掛け)タイプ
ノイバラ
トゲやツメで引っかかりながら生長する。誘引しなくても勝手に生長していくが、手をかけた方が美しく見えたり、花付きがよくなる。例・ノイバラ
目的に合ったつる性植物を選ぼう
どれくらい伸びる力のある「つる性植物」なのかを調べよう
つる性植物は種類によって伸びる丈がまったく違います。短めのものは1m以内、伸びるものは10m以上の生長力のあるものも。比較的伸びないタイプのつる性植物なら、鉢植えで栽培することも可能です。
購入した時は小さな株でも、地に下ろすと、とてつもなく伸びるものあります。どれくらいのスペースで栽培するのかを測った上で、種類をセレクトするとよいでしょう。
目隠し目的なら常緑、冬は光も取り込みたいなら落葉種か一年草
ゴーヤ
つる性植物をガーデニングの素材として植え付けたいなら見た目重視で構いませんが、例えば通り沿いの窓の目隠しとしてなら、常緑タイプのつる性植物を選びましょう。
また、最近人気のグリーンカーテンは、夏の強い陽射しを和らげるためのもの。夏以外は日光を室内に取り入れたいのであれば、常緑のつる性植物は向きません。夏だけのグリーンカーテンに向いているのは、暑さに強い一年草のつる性植物です。
夏だけのグリーンカーテンにしたいのか、それとも通年の目隠しにしたいのか、目的に合ったつる性植物を選ぶことが大切です。
吸盤タイプのつる性植物は植え付け場所をよく考えよう!
誘引しなくても勝手に生長してくれる吸盤タイプのつる性植物。植え付けの手間以外は、ほったらかしで大丈夫で楽ですが、気を付けたいのは植え付ける場所。
こちらはブロック塀に張り付いたツタを取り去った後。吸盤タイプのつる性植物は、張り付く力がとても強く、きれいに取り除くことが難しい場合が多いようです。
いつまでも、どこまでも広がっても構わない場所なら、広いスペースをカバーしてくれるありがたい植物ですが、張り付いてもらっては困るような外壁や住宅付近に植え付けるのは、おすすめできません。対処法としては、壁から少し離してネットやフェンスなどを取り付け、そこに這わせるという手段があります。
それでは花や実など、それぞれのつる性植物の見頃別につる性植物をご紹介します!
春に花が咲くつる性植物
1.クレマチス
クレマチスは系統、品種がたくさんある植物。系統によって、「開花時期」「常緑・落葉」、「つる性・木立性」、「伸びる丈」も様々です。ほとんどの品種は絡みつくようにして生長します。
伸びるタイプのものはフェンスやアーチ、トレリス、ラティスに。伸びないタイプは寄せ植えやハンギングでつるの流れを楽しむなど、様々なシーンに活用できます。
写真はクレマチス・モンタナ。環境に合うと10m以上伸びる、早春に咲くクレマチスです。
2.ツルニチニチソウ
ツルニチニチソウは這うように生長するので、グランドカバーとしておすすめの多年草のつる性植物。春に淡い紫色の花が地面一面に開花する光景は素敵です。緑葉の他、斑入り種もあります。また、花や葉が小さいヒメツルニチニチソウもあります。ヒメツルニチニチソウは花の色が紫の他、ダークカラーや白などもあります。
3.スイートピー
スイートピー・アズレウス
スイートピーは巻きひげで絡みついていくタイプの一年草のつる性植物(宿根性のものもあります)。支柱やトレリスに沿わせて植え付けると、巻きひげを出しながら生長していきます。色の種類も豊富なので、庭の色合いに合わせてコーディネートするのも楽しいですね。
4.エンドウ
白花サヤエンドウ
エンドウは一年草のつる性植物。スイートピーと同様、巻きひげを出しながら生長していきます。種類はさやを食べるサヤエンドウ、実を楽しむ実エンドウなど。花色も紅花や白花など品種によって違います。本来は野菜ですが、花がとてもかわいいので園芸植物としても利用できます。ポタジェ(キッチンガーデン)を作りたい方におすすめ。
5.ハゴロモジャスミン
ハゴロモジャスミンは半常緑つる性植物。関東以西では常緑ですが、さほど耐寒性が強くないため、寒い地域では冬は葉を落とすことがあります。春に花が咲き、つぼみの時は赤、開花すると白になるので開花とともに印象が変わります。花には甘い香りもあります。2~3mは伸びるのでフェンスやトレリスに絡ませたり、目隠しに用いることができます。花のない時期の優しいつるの雰囲気も素敵です。
6.モッコウバラ
モッコウバラは原種のつるバラで開花は春の一季咲きです。トゲがないバラなので誘引がしやすいつるバラです。フェンス、アーチ、トレリスなどに這わせると見事です。強健で生育も旺盛で、10mくらいにまで生長します。
地面と平行に誘引していくと花がたくさん咲きます。
7.ナニワイバラ
ナニワイバラは中国原産の常緑のつる性植物で、原種のバラのひとつです。花は一季咲きで、純白の一重の5枚の花弁で黄色い目立つ雄しべの花が、枝一面に開花します。花の開花はバラの中では早咲きで、4月後半から開花が始まります。秋の実も美しく、見ごたえがあります。とてもよく伸びる性質なので、広いスペースに植栽するのに向き、生垣などにも利用されています。
8.フジ
フジは落葉つる性植物です。春になると薄紫や白の花を咲かせます。フジには大きく分けて2種類あり、ノダフジ(野田藤) はつるが右巻き、ヤマフジ(山藤)は左巻きという特徴があります。
9.アケビ
アケビは日本の山野に自生する落葉つる性植物です。アケビは1本では結実しにくいという特徴があるため、実をつけるためには複数の品種が必要ですが、花や葉を楽しむ目的で庭の植栽としても用いられるようになっています。
10.カロライナジャスミン
カロライナジャスミンは細いつるで絡みつきながら5~6mくらい伸びる常緑のつる性植物です。4月~6月に株一面に黄色い花が開花します。とてもよく伸びるので、フェンスやトレリスに這わせると見栄えがします。
11.スワインソナ・ガレギフォリア
スワインソナはオーストラリア原産の落葉つる性植物です。日本で流通しているのは「ホワイトスワン」という白い花の品種です。春から初冬くらいまでと長期間、スイートピーに似た花を咲かせます。耐寒性は0℃くらいまでなので、関東以南くらいまでなら地植えにできます。繊細な葉も美しいつる性植物です。
初夏~夏に花が咲くつる性植物
1.ブラックベリー
ブラックベリーはバラ科の落葉つる性植物で、最近は様々な品種が流通しています。ブラックベリーはとげあり・とげなしの品種があり、最近流通しているブラックベリーの品種は、とげのないタイプがほとんどです。春にかわいらしい花が咲いた後、初夏に実がなります。フェンスやアーチ、トレリスに横に這わせるように誘引していくのがたくさんの実をつけるコツです。
2.ラズベリー
ラズベリーはバラ科の落葉つる性植物です。春にかわいい花が咲いた後、初夏に実がなります。品種によって初夏の一季なりと初夏と秋の二季なりがあります。ラズベリーは地植えにすると地下茎で増えていきます。地植えにする場合、植え場所はよく考えましょう。
3.バタフライピー
バタフライピーはマメ科のつる性の一年草。本来は多年草ですが、耐寒性がないため日本では一年草として扱われています。バタフライピーは暑さにはとても強く、真夏でもつるをぐんぐんと生長させ、たくさんの花を咲かせます。澄んだ青い花はとてもきれいです。1~3mくらいは伸びるのと夏の暑さに強いのでグリーンカーテンとして楽しむこともできます。
4.クレマチス
春に咲くクレマチスの花が終わる初夏ごろから咲くクレマチスは、写真のような壺型を始め、とてもたくさんの種類があります。四季咲きのものを選べば、剪定次第で秋にも開花します。品種によって伸びる丈が違うので、それぞれに合わせた場所に植え付けましょう。
5.センニンソウ
センニンソウは日本や中国などに自生する原種のクレマチス。暖地では常緑ですが、寒冷地だと落葉する場合もあります。花の開花は夏から秋。小輪多花性で白い小さな花が無数に開花します。生長力が旺盛で、壁一面に白い花が無数に開花している様は圧巻です。その特徴からフェンス、アーチ、トレリスなどに這わせるクレマチスとして人気です。
6.アサガオ
子供の頃育てた経験のあるつる性植物と言えばアサガオではないでしょうか。絡みつきながら生長していくので行燈仕立てやフェンスやトレリス、オベリスクなどに這わせて育てます。一年草の他、宿根アサガオもあります。夏の暑い時期に涼し気に咲くアサガオは、グリーンカーテンにすると涼を感じさせてくれます。花の色も多種類あるので選ぶ楽しみもありますね。
7.ゴーヤ
ゴーヤは一年草のつる性植物。夏の家庭菜園で人気の他、ネットに絡ませてカーテンやシェード風に仕立てるゴーヤのグリーンカーテンは、緑の森の中にいるような気分を味わえるだけでなく、室温を下げる効果もあり、暑い夏を乗り切るための人気のガーデニングアイテムになります。巻きひげを出して這っていくので、植え付けと同時にネットなどの這わせる何かを用意しましょう。
8.フウセンカズラ
フウセンカズラは一年草のつる性植物。毎年種から育てている方も多いのでは。フウセンカズラは巻きひげを出して生長していくので、ネットやトレリスなど這わせる何かを用意します。優し気で繊細な葉が美しく、グリーンカーテンの素材として人気があります。白い花が咲いた後にフウセンのようなかわいい実をつけます。上に上に伸びていくので、時々横方向に誘引してやると、きれいなグリーンカーテンに仕上がります。茎が細く扱いやすいので、誘引が楽です。
9.オキナワスズメウリ
オキナワスズメウリはとても生長力のある、つる性の一年草。夏に黄色い花が咲いた後、鞠のような丸い実がなります。実の色は最初は緑色で、次第に赤に変化していきます。つるは巻きひげが絡みついて伸びていきます。ネットやトレリスに這わせると、夏のグリーンカーテンとして活躍してくれます。暑さにとても強い植物です。
10.ノウゼンカズラ
ノウゼンカズラは中国原産の落葉つる性植物。つるから気根を出して樹木や壁に這いながら生長し、7月~8月に橙色の花を咲かせます。花色はオレンジ、黄色、赤などがあります。大輪でとても華やか。樹勢が強く丈夫です。10m近く伸びることもあるので広いスペース向きです。
11.ブーゲンビリア
ブーゲンビリアは常緑のつる性植物。熱帯産の植物で、やや寒さには弱いものの、手間がかからず手軽に育てることができます。熱帯や温暖な地域では常緑ですが、10℃以下になると落葉します。日本でも5℃あれば落葉しながらの越冬が可能です。ラティスやフェンスに誘引する作業が必要ですが、ブーゲンビリアにはトゲがあります。誘引の際に手を傷つけないように手袋などを着用するようにしてください。
12.ブドウ
ブドウはブドウ科の落葉つる性植物。美しい葉、実、秋の紅葉と四季を楽しむことができます。棚、パーゴラ、エスバリエなど仕立て方次第で様々な雰囲気を作ることができます。壁に這わせればグリーンカーテンにもなります。
13.オーストラリアンブルーベルズ(ソリア)
オーストラリアンブルーベルズはオーストラリア原産のつる性植物です。写真のピンクの他、ブルーや白花もあります。支柱やフェンス、木などに巻き付きながら生長していきます。数年経つと株元は木化します。霜が当たらない場所なら戸外で冬越しできます。
14.テイカカズラ
テイカカズラは日本原産の常緑のつる性植物です。5月~6月頃、直径2cm程度の芳香のある花をたわわに咲かせます。必ず誘引を行い、不要な枝は剪定して管理します。誘引をしないと好き勝手なところへ伸びていってしまいます。10m近く伸びるので広いスペース向きのつる性植物です。
15.ツルハナナス
ツルハナナスは常緑のつる性植物です。6月~9月頃、星形の花が開花します。花は茎先に数輪ついている形状で、いっぺんには咲かず少しずつ開花していきます。フェンスなどに絡まりながらたくさんの茎を伸ばしながら生長します。低木なので数年すると株元は木化していきます。大株になると株一面に無数の花が開花し見事です。
秋から冬に花や実がなるつる性植物
1.ドリチョスラブラブ
ドリチョス・ラブラブは藤豆の仲間でマメ科のつる性一年草。品種名はルビームーンとして流通しています。夏にピンクの花が咲いた後、目を引く濃い紫色のサヤができます。地植えにすると5m以上伸びるため、夏のグリーンカーテンとして利用できます。
2.ヘクソカズラ
ヘクソカズラは日本の山野に自生するつる性の多年草。雑草の分類の中に入れられてしまうこともありますが、最近は光沢のあるかわいい実が切り花として流通するようになりました。野草なのでとても強く、フェンスや木などにらせん状に絡まりながら登っていきます。
3.ノブドウ
ノブドウはブドウ科の落葉つる性植物です。夏に花が開花した後、秋に水色~青~紫色の実をつけます。その実の色合いはちょっとミステリアスな雰囲気。最近は花屋さんでも花材として売られています。とてもよく伸びるので広いスペース向きのつる性植物です。
葉が美しいつる性植物
1.アイビー
アイビーは別名ヘデラの名前でも流通している常緑のつる性植物。品種がとても豊富で単品だけでなく、寄せ植えのグリーンとしても使われます。アイビーは性質が非常に強健で、屋外で難なく越冬することができます。そのためグランドカバープランツとして使用されることもあります。葉の下から気根を出して生長するタイプのつる性植物です。半永久的に取り去る必要のない場所以外は、壁に直接這わせるのはおすすめできません。一度植え付けた後に抜くのも相当力が必要です。地植えにする際は、植える場所をよく考えてからにしましょう。
2.ヘンリーヅタ
ヘンリーヅタは落葉性のつる性植物です。ヘンリーヅタは葉の表と裏の色が違い、季節の温度の変化によっても葉の色が変わります。生長力があり地植えにすると10m近く伸びるので、フェンスやトレリスに這わせると、とても美しい光景となります。
3.ヒメヅタ
ヒメヅタはヘンリーヅタを一回り小さくしたような落葉つる性植物です。フェンスなどに絡まりながら生長していきます。初夏に小さな花が咲いた後、秋に黒っぽい実がなります。紅葉も美しく四季の変化を感じられる植物です。
自分のスペースに合ったつる性植物を取り入れて、素敵な空間を作りましょう!
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