育ててワクワクたのしいエディブルガーデン|4月の作業
古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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苗の植え付け | ||||||||||||
追肥 | ||||||||||||
収穫 |
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
家庭菜園を始めようとしているみなさんと今年も一緒に楽しいエディブルガーデン作りを始めましょう。
目次
家庭菜園〜4月の作業
だんだん園芸店やホームセンターに野菜の苗が並んできましたね。あれもこれも育てたい!とついついたくさん買ってしまいたくなりますが、自宅のベランダや菜園でどのくらいの苗を育てることができるのか考えながら購入していますか?
いくらでも作物が植えられるような広い環境ならば、好きなだけ苗を買って育てることができますが、限られたスペースならば効率よく苗を植え付けなければなりません。小さな菜園でどんなことに注意して、レイアウトを決めなければならないのか考えてみましょう。
小さな菜園での最適なレイアウトとは?
小さな菜園では以下の4つのことに注意して作物をレイアウトしていきましょう。
東西にのびる畝
illustration:小野寺 葉月
通常の菜園のレイアウトは、作物にまんべんなく日が当たるようにするため南北にのびる畝に植え付けるが基本のようですが、小さなスペースでいろんな種類の野菜を少しずつ育てる場合には、東西にのびる畝に植え付けることをおすすめします。
南側から背の低い順
南側から背の低い作物を順々に植え、北側には半日陰を好む作物を植えましょう。
支柱の有無
トマトなど支柱を必要とする作物を1列に畝にまとめて配置すると、支柱も安定し作業もしやすくなります。
科の違う作物
「混植」といって育てる作物にとって相性の良い作物を一緒に育てることで、良い影響を与え合いながら育てることができます。混植する際に有用な植物をコンパニオンプランツといい、病害虫の発生を軽減することができます。
また、「間作」といって家庭菜園くらいの小さな場所では、科の異なる種類の作物を植え付けることで連作障害のリスクを減らすことができます。
※連作障害とは、同じ畑で同じ種類の作物を続けて栽培するうちに、作物が健全に生育できなくなることをいいます。
コンパニオンプランツとならもっとたくさん育てられる
コンパニオンプランツとは一緒に育てることで、互いに良い影響を与え合う植物のことです。病害虫を寄せ付けず、受粉を助け、生育を促進させる働きがあります。
主なコンパニオンプランツの効果
実際にどんな効果がコンパニオンプランツにあるのかみていきましょう。
害虫忌避(バンカープランツ、忌避植物、おとり植物)
害虫被害を押さえる効果が期待できます。ネギ類やパセリ・セロリ、ハーブ類のような匂いの強い野菜で害虫を遠ざけます。
結実促進
マリーゴールド、ナスタチウム、ボリジ、カモマイルなどを植えると、受粉を助けてくれるハチやアブなどを集めることができます。スイカやズッキーニなどの受粉が結実に欠かせない作物の良い助けになってくれます。
病害予防(対抗植物)
ネギ類やマリーゴールドの根には、病害を防いだり、減らしたりする働きがあります。
特にマリーゴールドは、ネコブ線虫等に対する殺虫効果をもつといわれ、作物に対する病害の抑制にも効果があると考えられているため、一緒に植えたり緑肥として土にすき込むのに使用される植物です。
相互作用(アレロパシー)
肥料がたくさん必要な野菜は、肥料をそれほど必要としない野菜の余分な肥料分を吸収してくれます。また、日照を多く必要とする野菜の根元に、日陰でも育つ野菜を植え付けることで、お互いを補うことができます。
コンパニオンプランツの代表格
このように生育が促進されたり、病害虫を防ぐことができる性質を用いてコンパニオンプランツは育てられています。みなさんも試す価値はきっとありますよ。
コンパニオンプランツのなかでも代表格であるマリーゴールドの作用とはどんなものでしょうか。
マリーゴールド
初夏から秋にかけて花壇を鮮やかに彩るマリーゴールドは、家庭菜園ではコンパニオンプランツとして良く育てられています。
〜どんな作用があるの?〜
マリーゴールドには、ネグサレセンチュウなどの有害な土壌の線虫を殺す物質が体内に含まれているので、一緒に育てると良い影響があるようです。
illustration:小野寺 葉月
〜注意するポイント〜
コンパニオンプランツとして有用なマリーゴールドも、花が咲いてはオオタバコガの幼虫などが寄ってくるので、花が咲いたらつみ取って部屋に飾りましょう。
オーガニックな種から育てると、マリーゴールドの花もエディブルフラワーとして食べることができます。また、「エバーグリーン」といって花の咲かないマリーゴールドの品種もありますよ。
組み合わせ
科の違う作物同士でどんなものが相性が良いといわれているのでしょうか。これから植える春夏野菜に適していると考えられている組み合わせについて紹介します。
枝豆とトウモロコシ
illustration:小野寺 葉月
〜なぜ良いの?〜
枝豆をトウモロコシの側で育てることで、トウモロコシの天敵アワノメイガが寄り付かなくなり、枝豆の天敵コガネムシの飛来も減るようです。
また、枝豆はマメ科の特徴である根粒菌により窒素を固定するため、トウモロコシの生育も良くなります。
きゅうりとネギ
illustration:小野寺 葉月
〜なぜ良いの?〜
ネギはコンパにコンプランツの代表格です。様々な植物に有益に働きます。
ネギの根についている微生物が、きゅうりのつる割れ病などを予防するといわれています。さらに、ネギ類の独特の臭いはきゅりの害虫ウリハムシが寄り付かなくなる作用があるようです。
トマトとバジル
〜なぜいいの?〜
トマトは南米地域原産のナス科の野菜で、乾燥に強い野菜です。一方のバジルは、熱帯アジアのインド原産のシソ科のハーブです。そのため、トマトにとって余分な水分をバジルが代わりに吸収してくれることになります。
ナスとパセリ
〜なぜいいの?〜
ナスの害虫はヨトウムシ、アザミウマ、テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)、カメムシ。それに対しパセリの害虫はアゲハの幼虫。
それぞれに発生する害虫がお互い相手の野菜を嫌うので、ナスの害虫もパセリの害虫も寄り付かなくなるといわれています。
ピーマンとニラ
〜なぜいいの?〜
ニラはピーマン以外のナス科野菜とも相性が良く、生育を助けるといわれています。萎ちょう病、青枯病などの連作障害にも効果があるようです。
バンカープランツとは
コンパニオンプランツと似たような効果をもたらす「バンカープランツ」というものがあります。
バンカーという言葉は「銀行」という意味があり、植物にやってくる害虫の天敵を増やすために育てる植物を総称してバンカープランツと言います。
このバンカープランツとして有力視されている植物は、ソラマメやオクラ、クローバー、マリーゴールド、ごま、むぎ、一部の雑草やハーブなどがあります。どんな害虫の天敵を引き寄せるのか、各々の植物の組み合わせが重要です。
多年草野菜ミョウガのすすめ
一般的な野菜は「植える→育てる→収穫する」という一連の流れを半年ほどで終え、枯れていきますが、ミョウガやアスパラガスのように一度植え付けると数年に渡り栽培と収穫を繰り返す多年草野菜があります。
多年草野菜いち押しのミョウガ
何度も繰り返して収穫できる多年草野菜は、植え付けてから2年目からが収穫の本番になります。今回おすすめしたいミョウガは少量ではありますが、植え付け1年目から収穫できる優れものです。
ミョウガの育て方
ミョウガは種をまくのではなく、小さくて細いごぼうのような地下茎(種茎)を植え付けます。
日当たり
半日陰を好みます。あんまり日の当たらないベランダでも育てることができます。
用土
保水性のある用土を用意しましょう。ミョウガは光に当たると固くなる性質があるので、腐葉土などで株元を覆いましょう。
水やり
湿潤な環境を好みます。水はたっぷり与えましょう(休眠期の水やりは控えます)。
植え付け1年目のミョウガの生長記録
100均で販売されていたミョウガの苗を1年に渡り育てた画像を生長の順を追って見ていきましょう。
植え付け時(3月下旬)
ミョウガの苗から新芽がで出した頃に植え付けました。
2週間後(4月)
2週間で地表まで新芽が生長しました。
1か月後(5月)
大きな葉っぱも出てきました。
4か月後(8月)
1mは軽く超え、大きなミョウガに生長しました。
5か月後(9月~)
個体差はありますが、ミョウガの収穫が始まります。
7ヶ月後(11月)
ミョウガの収穫も終り、来年のための追肥を施し、茎葉は根元近くでカットしました。
カットしたミョウガの茎葉はネットや布で包み、入浴剤として活用できるようですのでお試しください。
2年目以降のミョウガのお手入れ
地植えのミョウガは植えっぱなしでも元気に生育しますが、プランターで育てているミョウガを元気に育てるための秘訣は次の2点が重要です。
・乾燥させない。
・3年か4年に一回は、掘り起こし株を分けて移植する。
3月下旬頃~
休眠期が終り生育期に入りますので水を与え始めます。
4~5月
芽が出てきたころ追肥を施します。乾燥しないか気を付けて、必要ならば腐葉土を敷きましょう。
この頃収穫できるのは、新芽を遮光して軟白させて育てる高級食材の「ミョウガダケ」です。
7~10月
ハナミョウガの収穫の始まりです。株の周りに次々とハナミョウガができます。手で折って収穫しましょう。
月に1度の追肥をして株を元気に育てましょう。
収穫するタイミングは、必ず花が咲く前の蕾の時期に収穫しましょう。花が咲いてしまったら1日で萎れてしまいます。食べきれなくても早めに収穫して、冷蔵庫で保管しておいた方が美味しくいただけます。
11~2月
だんだん収穫も落ち着き休眠期の始まりです。地上部が枯れて根の状態で冬を越す宿根草です。凍結しそうな場合は、株の上に土を少し多めに盛るか、腐葉土をかけるなどして防寒対策をしましょう。
いかがでしたか?
家庭菜園のレイアウトはお部屋のレイアウトと一緒です。作業しやすいように工夫しながら、ベストマッチな野菜を育てましょう。
2年目のミョウガはさらに大きく生育します。地植えで育てているミョウガと違いプランター栽培の方は、収穫量が減ってしまいますので肥料を忘れずに与えてくださいね。
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