9月が旬の野菜、果物、魚、花40種。秋の恵みをいち早く楽しむ
山田智美
このライターの記事一覧
9月に旬を迎える野菜や果物、魚、花を40種。あわせて行事や節句、季語、行事食も紹介します。出回り始めたばかりの秋の恵みをいち早く取り入れて、楽しんでみましょう。
目次
9月とは?季語や行事、事柄
- 和名:長月(ながつき)
- 英名:September
9月とは
9月は晩夏とも、初秋とも表現される時期。暑さが落ち着き、朝晩には涼しい風を感じ始め、季節が秋に移り行くことを肌で感じるようになります。
9月に使われる季語
虫時雨(むししぐれ)
秋の夜に聞こえる虫たちの鳴き声を時雨に例えたもの。時雨とは降っては止み、また降り出す雨のことです。
鈴虫
鈴虫は秋にリリリと涼し気な声で鳴く虫。鈴虫の声が聞こえるようになると秋の訪れを感じます。
赤とんぼ
赤いとんぼのこと。夏の間から飛んでいますが、秋の季語とされています。
秋めく
風や空気の香り、景色などが秋らしくなってきた様子。秋の気配を感じ始めた頃に使います。
9月に迎える二十四節気
白露
白露は二十四節気の第15節目、毎年9月8日頃です。年によって1日程度前後します。また、9月8日から次の二十四節気の次の第15節、秋分までの15日間ぐらいを指します。
白露は気温が下がり始め、草や葉の上に露が降り、白く光る朝露を見かけるようになる頃です。
秋分
秋分は二十四節気の第16節目、毎年9月23日頃です。年によって1日程度前後します。また、9月23日から次の二十四節気の次の第16節、寒露までの15日間ぐらいを指します。
秋分は、昼と夜の長さがほぼ同じくらいになるという日。昼が長かった夏が終わり、段々と日が短くなって、秋へと向かい始めます。
9月の行事や事柄
重陽の節句
重陽の節句は毎年9月9日です。別名菊の節句とも。昔はこの日に菊酒を飲み、菊を包んだ綿や菊の香りを染み込ませた布で体を拭くなどして、不老長寿と若返りを祈ったとされています。現在では菊の花を飾り、愛でて楽しみます。
月見
月見は旧暦8月15日に行われる、満月を眺めて楽しむ行事のこと。中秋の名月や十五夜、観月など多くの名前があります。中国から伝わった中秋節と日本の収穫を祝う祭りが混じり合ってできたとされています。月見団子やススキ、秋の草花などを飾って、月を眺めて楽しむ慣わしです。
秋分の日
秋分の日とは、国で定められた国民の祝日の一つです。毎年9月23日頃、年によって1日程度前後します。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」という目的が定められています。
秋の彼岸
秋の彼岸は秋分の日を中日(ちゅうにち、ちゅうじつ)として、前後3日間、合計7日間を期間とします。この期間にお参りに行き、先祖の霊を供養します。日本独自の文化です。
敬老の日
敬老の日は、9月の第3月曜日(2002年までは毎年9月15日)。国で定められた国民の祝日の一つです。「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」という目的が定められています。
9月の行事食
月見団子
月見団子は、穀物の実りを祝い、丸い団子を月に見立てた供物です。地域によって丸ではないところもあります。
月餅
中国では月見団子ではなく、月餅が用いられます。丸い月餅を月に見立て、健康を祈願します。
芋煮
月見の頃は里芋の収穫期でもあるため、月見に合わせて里芋料理を供物とする地域もあります。
9月が旬の野菜14種
インゲン
独特の香りと歯ごたえが特徴のインゲンはマメ科の野菜。サラダや煮物、炒め物と、あらゆる料理で活躍します。
マツタケ(松茸)
マツタケは香りが良いことで有名なキノコ。日本でもっとも高級なキノコの一つです。炊き込みご飯や土瓶蒸し、お吸い物などにして楽しみます。
シメジ
一年中流通しているシメジですが、天然のブナシメジやホンシメジの旬は秋です。香りが良いので、炊き込ごはんやお吸い物、あえ物などにして楽しみます。
マイタケ(舞茸)
マイタケも一年中流通していますが、天然のものは秋が旬です。似ても炒めても楽しめます。鍋料理にも活躍します。
食用菊
食用菊は名前の通り、食用の菊の花です。指でつまむようにして花びらだけを取り、酢を入れたお湯で茹で、お浸しにして食べます。花色は黄色や薄紫色があります。
ズッキーニ
ズッキーニはウリ科の夏野菜です。焼いたり、揚げたり、煮込んだりして食べますが、実は生でサラダにしてもおいしい野菜です。
パプリカ
パプリカはナス科の夏野菜。ピーマンの仲間になります。肉厚で味が濃く、生でも加熱しても食べられます。
ピーマン
ピーマンはナス科の野菜。鮮やかなグリーンは生でも加熱しても楽しめます。
シシトウ
シシトウはピーマンの仲間の野菜です。青唐辛子に見た目が似ていますが辛くないのが特徴です。
ナス
ナスはナス科の野菜です。一年中出回っていますが旬は夏の野菜です。油と相性が良く、揚げたり炒めたりする調理方法が人気です。
マコモダケ
マコモダケはイネ科のマコモという植物の肥大化した茎のこと。柔らかいタケノコのような独特の食感が魅力です。中華料理の他、アジア料理によく登場します。
トウモロコシ
トウモロコシは旬は7月~9月に旬を迎えるイネ科の野菜です。旬のトウモロコシには甘く瑞々しいおいしさがあります。
サトイモ(里芋)
サトイモは肥大した地下茎を食用にする野菜。ぬめりと歯ごたえが魅力です。煮物のほか、茹でておつまみにしたり、揚げたり炒めたりして楽しみます。
レンコン(蓮根)
レンコンは食用のハス(蓮)の肥大した地下茎です。加熱時間や調理方法でシャキシャキとした歯ごたえとほくほくとした食感の両方を楽しめるのも魅力です。煮たり炒めたりして楽しめます。
9月が旬の果物(フルーツ)4種
ブドウ
ブドウはつる性の果樹。旬は品種によって違いはありますが、晩夏から秋です。甘く水分の多い果実が魅力の果物です。
ナシ(梨)
ナシは瑞々しく、シャリシャリとした食感が楽しめる、バラ科の果物。晩夏から秋が旬です。
イチジク(無花果)
イチジクはゴム科の落葉低木。晩夏から秋にかけて旬を迎える果物です。花を咲かせずに結実するのが特徴です。甘くねっとりとした果肉が特徴です。
ザクロ(柘榴、石榴)
ザクロはミソハギ科の落葉高木。秋に実る果実を食用にします。ザクロの果実は熟すと果皮が割れて、半透明で赤紫色をした宝石のような果肉が見える、とても美しい果物です。
9月が旬の魚(魚介)5種
秋鮭(アキザケ、アキジャケ)
秋に産卵のために川に戻ってきたサケを秋鮭と言います。産卵前なので身がしまっているのが特徴。塩焼きの他、煮たり焼いたりして楽しめます。
サンマ
日本の秋を代表するようなサンマの旬は9月~10月です。塩焼きのほか、煮たり揚げたりして楽しめます。
タチウオ(太刀魚)
長く平たい姿が特徴のタチウオ。夏から秋にかけての産卵期が脂が乗っておいしい時期だと言われています。淡白な味わいの魚で、シンプルに塩焼きのほか、煮たり揚げたりして楽しめます。
カツオ
カツオの旬は春と晩夏の年2回あります。8月~9月のカツオは戻りガツオと呼ばれ、脂が乗っておいしいとされています。
スルメイカ
一年中流通しているスルメイカですが、夏から秋にかけてが旬。夏イカ、秋イカという呼び名もあるくらいです。特に秋イカは夏の間に成長しているので、脂が乗って肝までおいしいと言われています。
9月が旬の花17種
キク(菊)
菊の花の咲く季節は秋、9月~11月です。特に秋も深まり周囲の木々が紅葉し始めた頃、菊も美しく咲き誇ります。
オミナエシ
オミナエシ(女郎花)は黄色い小花を集合させたような花を咲かせるスイカズラ科の多年草。秋の七草の一つです。独特の香りが苦手という人も多いようですが、群生する姿が美しい花です。
フジバカマ
フジバカマは秋の七草に数えられるキク科の多年草。淡い紫色の優しい花を咲かせます。日本に昔から自生していたEupatorium japonicumは絶滅危惧種になっており、近縁種のEupatorium fortuneiが流通しています。
クズ
クズの花が咲くのは7月~9月。秋の七草の一つですが、夏のまだ暑い盛りから晩夏にかけて咲き続けます。グレープジュースのような香りが魅力です。
ススキ
ススキは日本の秋を代表するイネ科の多年草。秋の七草のひとつである尾花(オバナ)とはススキのことです。
ハギ(萩)
秋の七草として有名なハギですが、実際に開花するのは夏。7月頃から咲き始め、8月~9月に見ごろを迎えます。
リンドウ
リンドウは秋に青紫色の花を咲かせる多年草。花色は他に、ピンクや白などがあります。9月頃から咲き始め、秋も深まる11月頃まで花を楽しめます。
ヒガンバナ
ヒガンバナはその名の通り、秋の彼岸頃に花を咲かせるヒガンバナ科の球根植物。しべが突き出した真赤な花のフォルムが印象的です。
コスモス
コスモスは色のバリエーションが豊富なキク科の一年草。秋を代表するような花ですが、最近は夏から開花する品種も流通しています。
キンミズヒキ
キンミズヒキは黄色の花を細い花茎に連なるように咲かせます。キンミズヒキと言いますが赤い花のミズヒキとは別種です。
ダリア
ダリアは大輪の印象的な花を咲かせる植物。真夏を少し休んで初夏と秋に開花します。
シュウメイギク
シュウメイギクは秋に白やピンクの花を咲かせる、キンポウゲ科の多年草。菊の仲間ではありません。風に揺れる楚々とした姿が美しい花です。
ワレモコウ
ワレモコウ(吾亦紅)は赤茶や白の花穂を持つバラ科の多年草。草丈高く、秋の風にそよぐ姿には風情があります。株で大きくなるので、群生する姿は見事です。
キンモクセイ
キンモクセイは秋に香りの良い花を咲かせる花木。9月~10月頃に開花します。その年の気候や天候により、2回~3回、花が咲くこともあります。
サワギキョウ
サワギキョウはキキョウ科の多年草。日当たりの良い湿地を好みます。花色は赤、紫、ピンク、白などがあります。
シュウカイドウ
シュウカイドウ(秋海棠)は日本の山野に自生するベゴニアの仲間。ピンク色の小さな花がかわいらしい多年草です。左右の大きさが異なるハート型の葉が特徴で、花言葉は「片思い」。半日陰を好みます。
パンパスグラス
パンパスグラスは、イネ科の多年草。夏の終わりから秋に、真直ぐに伸びた茎の先に魔女の箒のような穂を咲かせます。草丈3mくらいまで生長する品種から1m程度の矮性種もあります。
9月が旬の食材レシピ2種
ナスの豆鼓醤炒め
材料
- ナス 食べたいだけ
- ネギ みじん切り
- すりおろしショウガ 少々
- 鷹の爪 輪切り
- 豆鼓醤 適宜
- オイスターソース 少々
作り方
- ナスは皮を剥いて細切りにし、水にさらしておく
- フライパンに油を入れ、ネギのみじん切り、すりおろしショウガ、鷹の爪を入れて香りを出す
- フライパンに水気を切ったナスを加えて、しんなりする程度まで炒めたら豆鼓醤を加える
- 全体に豆鼓醤が馴染んだら、仕上げにオイスターソースを垂らし、全体を混ぜ合わせて出来上がり
炒めながら豆鼓醤をしっかりとなじませることでクセのある味に仕上がります。豆鼓醤を甜面醤にすると、甘味とコクのあるナス炒めが楽しめます。
スルメイカとサトイモの煮物
材料
- スルメイカ 一杯
- サトイモ 5~6個
- ショウガ 薄切り
- 酒 大さじ3
- しょうゆ 大さじ3
- みりん 大さじ3
- 水 1/2カップ
作り方
- イカは足とわたを取り、中を洗っ輪切り、足は吸盤を取って食べやすいサイズに切る
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし(分量外)、塩を加えて、サトイモを軽く下茹でする
- 竹串が刺さる程度でザルに上げ、ぬめりを取るように洗う
- 鍋に酒、しょうゆ、みりん、ショウガを入れ、煮立てる
- 煮立ったらスルメイカを加え、2分程で取り出す
- 鍋に水1/2カップとサトイモを加え、落し蓋をしてサトイモが柔らかくなるまで煮る
- サトイモが柔らかくなったら鍋にスルメイカを戻し、ひと煮立ちさせて出来上がり
サトイモは下茹でをしてぬめりを取った方がおいしく仕上がります。スルメイカは加熱しすぎると固くなるので、最初にさっと煮れば十分。スルメイカとサトイモから味が出ておいしく仕上がるので、特に出汁は使用しません。
旬のスルメイカとサトイモで作る、ほっとする味の煮物です。
9月は夏の名残と秋の気配を両方楽しめる時期。日も西へ傾き、太陽の光にも秋の気配を感じ始める頃です。目で、肌で、味覚で、秋の始まりを満喫しましょう。
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「9月が旬の野菜、果物、魚、花40種。秋の恵みをいち早く楽しむ」の記事をみんなにも教えてあげよう♪