街路樹の種類一覧|写真付きで名前と特徴を紹介
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街路樹の種類を、常緑樹、落葉樹、低木、花が咲く種類や実がなる種類に分けて、一覧で紹介します。街路樹の意味や役割、並木との違いについても解説します。
目次
街路樹とは?意味、並木との違い
街路樹の意味
街路とは、街に作られた道路を意味する言葉。街路樹とは、街の道路沿いに植えられている樹木のことを指します。街路樹が植えられる意味は、主に景観を良くするため、環境保全のためです。また、木陰を作り、風をよけるなど、通行する人の保護の役割も果たしています。
街路樹と並木との違い
並木とは、道の両側に並んで植えてある樹木のこと。道の両側に植えてあるものなので、並木は街路樹に含まれます。
桜並木やイチョウ並木など、1種類の木が道の両側にずらりと並んでいる光景は見た目に美しく、また花や紅葉の季節には歩行者の目を楽しませてくれます。
常緑の街路樹の種類
常緑ヤマボウシ
- 樹高:3~5m
常緑ヤマボウシは、ミズキ科の常緑小高木です。花は落葉のヤマボウシによく似ていますが、葉に厚みがあり、グリーンが濃いのが特徴です。初夏にハナミズキのような白からクリーム色の花を咲かせ、秋に赤みの強いオレンジ色の実を付けます。常緑ヤマボウシの実も、落葉のヤマボウシと同じく食べられます。
ヤマモモ
- 樹高:5~10m
ヤマモモは、夏に直径1.5cm程度の赤い実を付ける雌雄異株の常緑高木です。ヤマモモの実は生食できます。樹高は5~10m程度、葉は光沢があり、幅の細い楕円形、放射状に広がります。熟した果実が道に落ちて汚れるため、街中では雄株のみが植栽されていることが多いようです。
ネズミモチ
- 樹高:5m未満
ネズミモチは、秋から冬の寒い時期に真黒な実を付ける常緑高木です。葉の表面には光沢があり、先の尖った卵型、密度高く繁ります。冬になると、黒く熟した実を食べに、たくさんの鳥が集まってきます。
落葉の街路樹の種類
イチョウ
- 樹高:10~20m
イチョウは、イチョウ科の落葉高木。春は柔らかい新緑、夏は緑の葉、秋には黄金色に紅葉する、四季を通して美しい樹木です。秋の味覚である銀杏は、イチョウの種子で、熟して地面に落ちてから臭気を放つことはあまりに有名です。この香りと、熟して落ちた果実が道を汚すため、街中では雄株のみが植栽されていることが多いようです。イチョウの見分け方は、葉の真ん中が裂けているものが雄株、裂けていないものが雌株という風に見分けます。祖母から「雄は袴、雌はスカート」という風に教わりました。
プラタナス
- 樹高:10m以上
プラタナスは、スズカケノキの仲間の総称です。秋に金色に色づく大きな葉が印象的な落葉高木で、株元に落ちた枯葉も美しい木です。
トウカエデ
- 樹高:10m以上
トウカエデは、ムクロジ科の落葉高木です。夏の光沢のあるグリーンの葉、秋の紅葉と四季を通じて美しい姿を見せてくれます。樹高10m以上になる高木です。葉のフォルムが美しいので、株元に落ちた葉の陰まで楽しめます。
モミジバフウ
- 樹高:10m以上
モミジバフウは、マンサク科の落葉高木です。樹高は20mを越すものもあります。モミジのようなフォルムの葉と、秋の紅葉が美しい樹木です。
エンジュ
- 樹高:5m以上
エンジュは、初夏に白い花を咲かせるマメ科の落葉高木です。5mを越す高木の上の方に花を咲かせるので、なかなか花の姿は見えず、株元に散った花が積もっている様子で開花に気づきます。
カツラ
- 樹高:10m以上
カツラは、ハート形の葉が可愛らしい落葉高木です。樹高10mを越すほど大きくなるので、個人のお庭よりも街路樹に好まれます。新芽の少しピンクを帯びたようなグリーンも、夏にグリーンが濃くなって大きくなった葉も、どちらも美しい木です。
ベニバナトチノキ
- 樹高:5~10m
ベニバナトチノキは、モミジのようなフォルムの大きな葉とピンク色の花が印象的な落葉高木です。花は4月~5月頃に上の方の枝を見ると咲いています。
コナラ
- 樹高:5~10m
コナラは、街路樹以外に公園にもよく植えられている落葉高木です。秋にはたくさんのドングリを実らせます。葉脈のはっきりした柔らかな印象の葉は、夏のグリーンも、秋に赤茶色く紅葉した姿も美しい木です。
低木の街路樹の種類
アベリア
- 樹高:1~2m
アベリアは、和名をハナツクバネウツギというスイカズラ科の半常緑低木です。花はほぼ四季咲きで強健なため、街路樹以外に公園や個人のお庭でも人気があります。
シルバープリペッド
- 樹高:1~3m
シルバープリペッドは、モクセイ科の半常緑低木です。刈り込みによく耐えるため、生垣にも好まれます。春に咲く白い花には芳香があります。
シャリンバイ
- 樹高:1~3m
シャリンバイは、春に白い花を咲かせ、秋に黒い実を付ける常緑低木です。春に咲く花は白く、花びらが5枚で梅に似ているため、この名前が付いたといわれています。厚みのある葉は、光沢のあるグリーンで、密度高く繁ることから、目隠しや生垣としても人気があります。
マホニア コンフューサ
- 樹高:1~3m
マホニア コンフューサは、濃いグリーンの細い葉が美しいメギ科の常緑低木です。葉の縁にギザギザがあるのでヒイラギの名が付いていますが、ヒイラギではありません。秋に黄色い花を咲かせ、秋から冬に黒い実を付けます。日陰でも育ち、手間がかからないことから、街路樹の他、公園や個人のお庭まで幅広く植えられている木です。
ハクチョウゲ
- 樹高:1~3m
ハクチョウゲは、アカネ科の常緑低木です。常緑ですが、冬に少し葉を落とします。初夏に咲く花は直径1cm足らずと小さく、かすかな芳香があります。一時期はよく見かけましたが、寿命があまり長くないためか、最近は他の木と入れ替わってきているようです。
ツゲ
- 樹高:1~3m
ツゲは、ツゲ科の常緑低木です。放っておくと3mくらいになりますが、生長が非常に緩やかであまり大きくならないことや、刈り込みにも強いことから、街路樹の他、個人のお庭の生垣にも使用されます。
フィリフェラオーレア
- 樹高:1~4m
フィリフェラオーレアは、ヒノキ科の常緑低木です。横に枝を伸ばす樹形が美しく、明るいグリーンの葉が美しく、刈り込みにもよく耐えるので、街路樹や生垣、グランドカバーとして好まれます。放っておくと樹高4mほどまで大きくなりますが、ほとんどは低く整えられています。
花が咲く街路樹の種類
マグノリア
- 樹高:5~10m
- 花期:3月~5月、8月(品種による)
マグノリアはモクレンの仲間の総称です。多くが落葉樹ですが、常緑樹もあります。コブシやモクレン、ハクモクレンなどが街路樹としてよく植えられています。花色は白やピンクなどがあり、どれも芳香があるのが特徴です。仲間のカラタネオガタマは、果物のような甘い香りの花を咲かせる上に常緑で育てやすいので、個人のお庭でもよく植えられています。
トキワマンサク
- 樹高:3~8m
- 花期:3月~4月
トキワマンサクは、マンサク科の常緑樹です。花色は白やピンク、葉の色も明るいグリーンやボルドーカラーがあります。リボンを裂いたような花のフォルムと丸みを帯びた小葉が美しく、人気のある木です。葉の密度が高く常緑であるため、目隠しの役割も果たします。
ジンチョウゲ
- 樹高:1~2m
- 花期:2月~3月
ジンチョウゲは、春に香りの良い花を咲かせるジンチョウゲ科の常緑高木です。ジンチョウゲの花は花びらの外側が赤、内側は白の品種が一般的ですが、他に外側も内側も白の品種があります。夏のクチナシ、秋のキンモクセイと並んで香りの良さで人気のある花木。春に道を歩いていて、この花の香りが漂ってくると、思わず足を止めてしまう方も多いのではないでしょうか。
ハナミズキ
- 樹高:5~10m
- 花期:4月~5月
ハナミズキは、ミズキ科の落葉高木です。ハナミズキの花は、桜が終わった頃に咲き始めます。横に枝を広げるような樹形が美しく、その先に空に浮かぶようにピンクや白の花を咲かせる姿は見事です。秋には真赤な実と紅葉で、人の目を楽しませてくれる、四季を通して美しい花木です。
サクラ
- 樹高:5~10m
- 花期:3月~4月
サクラは、バラ科の落葉高木です。サクラの中でもソメイヨシノは日本の春を代表するような花。街路樹のほか、公園、河川敷などあらゆるところに植えられています。サクラが満開になる季節には、用がなくても桜並木を歩きたくなります。春の花ばかりが注目されるようですが、秋の紅葉も美しい花木です。
クチナシ
- 樹高:1~3m
- 花期:6月~7月
クチナシは、夏に甘い芳香を放つアカネ科の常緑低木。葉は光沢のある濃いグリーンで、花色は白、一重咲きと八重咲きがあります。クチナシの香りは甘く強く、初夏に道を歩いていると香りで存在に気付くことがあるほどです。可憐な花を咲かせますが、思いのほか丈夫で街路樹として植えられています。
サルスベリ
- 樹高:5~10m
- 花期:7月~10月
サルスベリは、ミソハギ科の落葉高木です。サルスベリの名前の由来は、木登りが得意なサルでも滑り落ちるくらい木肌がつるつるとしているからだそうです。サルスベリは別名を百日紅ともいうくらい花期が長いのが特徴で、夏から秋まで咲き続けます。花色は白、淡いピンク、濃いピンク、紫などがあり、いずれも鮮やかな色で人目を惹きます。
ツツジ、サツキ
- 樹高:1~3m
- 花期:4月~5月(四季咲き)
ツツジ、サツキは、鮮やかな花色が印象的なツツジ科の常緑低木です。葉の表面には産毛のような毛があります。花色は白やピンク、濃いピンクなど。蜜が甘く、蝶や蜂が寄っているのを見かけます。非常に強健で、環境が合えば夏や秋でも花を咲かせます。
ドウダンツツジ
- 樹高:1~5m
- 花期:4月~5月
ドウダンツツジは、ツツジ科の落葉低木です。低木ですが放っておくと樹高5mくらいまで大きくなります。スズランのような小さな壺型の花と、横に枝を広げる樹形が美しく、切り花としても人気があります。秋には真赤に紅葉する姿も印象的な花木です。
キンモクセイ
- 樹高:5~10m
- 花期:9月~10月
キンモクセイは、秋に香りの良い花を咲かせることで有名な、モクセイ科の常緑高木です。葉は光沢のあるグリーンで密度が高いため、目隠しとしての効果もあります。病害虫の被害にあいにくく、非常に強健なため、街路樹のほか、公園や個人のお庭など、様々な場所に植えられています。
実がなる街路樹の種類
ヤマボウシ
- 樹高:5~10m
- 観賞期:9月~10月
ヤマボウシは、初夏に白い花を咲かせる落葉高木です。樹高は5~10mにまで生長します。花は白で花びらは4枚、少しハナミズキの花に似ています。秋に熟す実は外皮を向いて生食できます。酸味はなく甘みが強くて、シャリシャリとした食感を楽しめます。
ソヨゴ
- 樹高:5~10m
- 観賞期:11月~12月
ソヨゴはモチノキ科の常緑高木。光沢のあるグリーンの葉が美しい樹木です。初夏に咲く花はとても小さくて、気を付けて確認しないと見逃してしまうほどです。秋に直径1cm足らずの赤い実を付けますが、食用にはできません。
クロガネモチ
- 樹高:5~10m
- 観賞期:10月~12月
クロガネモチは、モチノキ科の常緑高木です。樹高は5~10m程度、大きなものは10mを越すものもあります。光沢のあるグリーンの葉が美しい樹木です。秋から冬にかけて真赤な果実を実らせます。クロガネモチの実は食用にはできません。
身近なところで見かけるけど、意外と名前がわからない街路樹。お探しの街路樹は見つかりましたか。地域や街の景観に合わせつつ、環境保全の役割を果たしているのだから、感心します。街路樹の名前を覚えて、もっとお散歩を楽しんでください。
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