球根を使った寄せ植え|おすすめの花、植える時期、作り方と管理のコツ

戸松敦子
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秋に作る寄せ植えに、春に咲く球根をしのばせておくと、まだ寒さの残る春に球根たちがかわいい芽を出して色とりどりの花を咲かせます。
また、2月頃には球根が芽を出した状態の苗が出回り、そんな芽出し球根を使うと気軽に季節を感じる寄せ植えを作れるのでおすすめです。
今回は、「球根を使った寄せ植え」の作り方のコツ、合わせるおすすめの草花、デザイン例や管理ポイントなどを紹介します。
目次
- 球根、芽出し球根とは
- おすすめの球根をご紹介
- 球根の植え付け時期の目安
- 球根メインの寄せ植え
- 球根と季節の草花の寄せ植え
- 芽出し球根の寄せ植え
- 芽出し球根と季節の草花を使った寄せ植え
- 球根を使った寄せ植えの管理ポイント
球根、芽出し球根とは
秋に植えて春に咲く球根といえば、チューリップ、ムスカリ、スイセンなど。
秋に寄せ植えを作るときには、草花の株元に春咲き球根をしのばせて植えるといいですね。草花と球根を一緒に植えると小さなスペースで両方楽しめ、球根の水やりも忘れずに行えるので安心です。
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2月頃には、秋に植えた球根植物が芽を出した苗になってお店に並びます。チューリップ、アネモネ、ラナンキュラス、ヒヤシンス、ムスカリなどの芽出し球根を2月に植えると、まだ寒いので生長がゆっくりと進み、蕾の姿から春に思い切り咲き誇る姿までを楽しむことができます。
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おすすめの球根をご紹介
秋に植えて春に咲く、おすすめの球根を紹介します!
チューリップ ~ユリ科 耐寒性球根~
チューリップは3月~5月頃に花を咲かせます。草丈は種類によりますが、15cm~60cmほど。花色は赤、白、黄色、ピンク、紫、複色など様々です。
日当たりと風通しの良い場所に植え付けます。生長には寒さと日光、適切な水分が必要です。
チューリップの咲き方はユリ咲き、パーロット咲き、フリンジ咲き、八重咲きなどいろいろな咲き方があります。開花時期も種類によって異なり、大きく分けると早咲き、普通咲き、遅咲きがあります。
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チューリップ
- チューリップは春に花咲く球根植物です。チューリップの球根は直径3cmほどのものが多く、玉ねぎのような形をしています。この球根を地面に植え育てるのです。球根の先はとがっていて、その先端から花茎や葉を伸ばします。花茎の背丈は種類にもよりますが、15cmよりも下のものはありません。おおよそ15cm~60cmのものまでが主に出回っています。花びらの色は皆さんも良くご存知の様に赤、白、黄色をはじめ、ピンク、紫、複色などさまざま。咲き方も、ユリ咲き、パーロット咲き、フリンジ咲き、八重咲きなどいろいろな咲き方があります。チューリップの開花時期は、大きく分けると、早咲き、普通咲き、遅咲きの3時期があります。同じチューリップでも開花の時期がかなり違うので、違う開花時期のものを一緒に寄せ植えすると、開花時期がずれてしまい見栄えが悪いので、鉢植えに植える場合は単一種を植え付ける方が一般的です。 チューリップの育て方で大切なことは 1.よい球根を選ぶこと 2.適切な場所に植えて、適量の水やりをすること 3.寒さに当てること です。
スイセン ~ヒガンバナ科 耐寒性球根
スイセンは1月~4月頃に花を咲かせます。花色は、白と黄色以外にピンクや緑、オレンジなど様々です。品種によって一本の茎から一本の花が咲く種もあれば、日本水仙のような房咲き種や八重咲き種などもあります。草丈は20~40㎝ほどです。
日なたから半日陰、水はけの良い用土を好みます。スイセンは数年間は植えっぱなしで管理でき、環境が合えば球根が年々増えるのでとても育てやすいです。
▼スイセンの育て方や楽しみ方についてはこちら
水仙(スイセン)
- 水仙(スイセン)は、早春に花を咲かせる春を告げる球根植物のひとつです。白と黄色以外にピンクや緑、オレンジなど、色とりどりの花が咲きます。水仙(スイセン)の園芸品種の数は数万品種もあり、とても種類が豊富です。品種によって一本の茎から一本の花が咲く種もあれば、日本水仙のような房咲き種もあります。最近では八重咲種など、新品種の水仙(スイセン)が毎年のように登場します。水仙(スイセン)は、主に冬咲きと春咲きの品種が多いですが、中には秋に咲く品種もあります。 水仙(スイセン)は、数年間は植えっぱなしで管理でき、環境が合えば球根が年々増えていくのでガーデニング初心者にはおすすめの球根の花です。球根をまとめて植え付けておくと、年々分球し、とても見事な空間となります。日本全国には、たくさんの水仙(スイセン)の群生スポットが存在します。
ムスカリ ~キジカクシ科 耐寒性球根~
ムスカリは3月~5月頃、ブドウのような可愛い花を咲かせます。草丈は15cmくらいで、花色は青、紫、白、黄、ピンク、複色など様々あります。
ムスカリは品種によってそれぞれ咲き方や大きさも違います。植えっぱなしでも自然に分球して増えて毎年花を咲かせてくれます。
▼ムスカリの育て方や楽しみ方はこちら
アネモネ~ キンポウゲ科 耐寒性球根
アネモネは、2月下旬くらいから5月頃まで華やかな花(花径10㎝ほど)を咲かせます。切り花としても大変人気があります。花色は鮮やかではっきりしたものから、パステル色や複色系の優しい色合いの品種もあります。花のサイズも大輪から小輪のものまで豊富です。八重咲きの豪華なタイプもあります。
アネモネは球根から育てることもできますが、少しコツが必要です。葉もたくさん茂りスペースを使うので、寄せ植えに使う場合は2月頃に出回る写真のような苗を使うと寄せ植えが作りやすいです。花が咲くまでは地味な草姿ですが、葉がしっかり育ち、蕾がたくさんついている苗を選ぶと、次々と華やかな花を咲かせてくれます。
▼アネモネの育て方や球根の扱い方についてはこちら
アネモネ
- アネモネは分枝性の塊茎をもち、草丈25~40cmになるキンポウゲ科の多年草で、直立して直径10cm前後の花を咲かせます。アネモネの花びらに見える部分は、がく片です。 和名はボタンイチゲ(牡丹一華)やハナイチゲ(花一華)といいます。 アネモネはまだ花の少ない2月下旬ごろから5月頃までと開花期が長く、赤、白、ピンク、紫や青など豊富な花色や一重だけでなく半八重や八重など花形の異なる多くの品種があり、切り花や花壇で広く栽培されています。性質は日当たりを好み、寒さに当てないとつぼみができない性質があるのでの冬も屋外で育てましょう。 アネモネの品種は、100品種以上あり、毎年のように新しい品種ができています。以前は、発色のよい色が中心でしたが、最近はパステル系の複色系の品種もあり、花のサイズも大輪のものから小輪のものまで豊富に揃います。園芸用以外に、切り花としても春を代表する球根花です。
ラナンキュラス~ キンポウゲ科 半耐寒性球根
ラナンキュラスは、幾重にも重なった繊細な花びらが魅力的。アネモネと同じくとても華やかで切り花としても人気が高いです。花色は、白、ピンク、赤、紫、黄色、オレンジ、アプリコット色、複色などがあります。
ラナンキュラスも球根から育てることができますが、少しコツが必要です。葉もたくさん茂ってスペースを必要とするので、寄せ植えに使う場合は2月頃に出回る苗を使うといいですね。5月頃まで次々と咲きます。
▼ラナンキュラスの育て方や球根の扱いについてはこちら
ラナンキュラス
- ラナンキュラスは早春から春にかけて開花の多年草の球根植物です。秋に球根を植えて開花時期は3月~4月、夏の高温期は休眠します。 ラナンキュラスの学名の由来は、葉っぱが「カエルの足」に似ていること、またラナンキュラス属の多くが湿地帯を好むことから、ラテン語の「rana (カエル)」 が語源となっていると言われています。ただし園芸用として流通しているラナンキュラス(Ranunculus asiaticus)は加湿を苦手とします。バターカップ(Buttercup)という英名は、原種のラナンキュラスが花びらが5枚の黄色い花を咲かせることに由来します。 最近のラナンキュラスは品種改良が進み、咲き方、色数がとても豊富。薄紙のように繊細な花びらが幾重にも重なった花が、光と温度に反応して開く姿がとても魅力的です。毎年新品種が作り出されるほど人気のある花です。
ヒヤシンス~ ユリ科 耐寒性球根~
ヒヤシンスは、小さな花を花茎に連なるように咲かせ、とても良い香りがします。ヒヤシンスの花期は3月~4月頃です。
ヒヤシンスを寄せ植えに使う場合は、2月頃に写真のように蕾がまだ固く閉じている苗を選んでゆっくり観察しながら育てると、寒い時期も春を待つワクワクした気持ちが楽しめます。ヒヤシンスは球根の状態から、屋外でも室内でも育てることができますが、屋外で育てると寒さで芽吹きから開花までのスピードが遅いので、花を長く観賞できておすすめです。
▼ヒヤシンスの育て方や楽しみ方はこちら
ヒヤシンス
- ヒヤシンスは秋植え春咲きの球根植物で、小さな花を花茎に連なるように咲かせます。ヒヤシンスにはダッチ系とローマン系があり、ダッチ系は花数も多く豪華です。私たちが日頃見ているヒヤシンスの多くはダッチ系ヒヤシンスです。 ヒヤシンスの一番の魅力は、花色のバリエーションの豊富さと甘い香りです。庭植えや鉢植えなど土壌で育てることも、土を使わずに水耕栽培(水栽培)でも育てることも出来るため、部屋の中でインテリア感覚で栽培する方も多い植物です。 通常、球根は一球から一本の花茎が出ますが、品種改良が進み数本の花芽を出す品種もあります。球根の表皮は花色によって違い、表皮の色でおおよその花の色がわかります。
球根の植え付け時期の目安
秋に植えて春に咲く球根は、10月頃から出回ります。大きくて重みがあり、新鮮なものを選びましょう。触って柔らかかったり、カビているようなものは良い球根とは言えません。
秋植え球根は植えるのが早すぎると、まだ気温が高く秋のうちに芽が出てしまったり葉が伸びてしまいます。適切な時期に植え付けるようにしましょう。一般的には肌寒くなってくる15℃前後くらいになった頃が最適です。目安としては「紅葉が見頃を迎える頃」と言われ、関東地方では11月上旬頃がおすすめです。
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球根メインの寄せ植え
秋にチューリップ、スイセン、ムスカリなどの球根を植え付け、土が乾いたら水やりを続けます。雨の当たる場所に置いておけば、水やりの回数が少なくていいですね。ただ、球根はずっと土が湿った状態にあると土の中で腐ってしまうことがあります。長雨が続くような場合は、屋根のある場所に移動させ、土が乾いてから水やりをしましょう。
土の上にウッドチップを置くとオシャレに飾れます。写真右側のように、冬にも常緑のセダムの下に球根をしのばせておく植え方もあります。
セダムの下に植えておいたのは、二種類のムスカリです。春になるとセダムの中からムスカリが可愛く芽を出して花を咲かせます。
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球根と季節の草花の寄せ植え
秋の草花で寄せ植えを作るときに、株元にチューリップ・スイセン・ムスカリなどの球根を植えておくと、春の訪れが楽しみになります。地上部に草花があると球根の水やりを忘れることが無いので安心です。
パンジー・ビオラ
球根の上に植える草花は、秋から春まで咲くパンジー・ビオラ、スイートアリッサムなどの耐寒性がある一年草がおすすめです。一年草は根がやわらかいので、球根の芽が出やすいので失敗が少ないです。
▼パンジー・ビオラをたくさん咲かせるコツはこちら
スイートアリッサム
スイートアリッサムの花色はピンク、白、紫、オレンジ、パステル色やアンティーク色まであります。どんな花にも合わせやすく、名脇役となって可愛く咲き誇ります。
▼スイートアリッサムの魅力はこちら
寄せ植えの下に、開花時期の違う球根を2層植え(ダブルデッカー)にしたり、3層植え(トリプルデッカー)にすると、早春から春に球根が順番に芽を出して花を咲かせるのでワクワク感が長く楽しめます。
▼球根の3層植え(トリプルデッカー)の寄せ植えについてはこちら
芽出し球根の寄せ植え
2月頃になると、秋に植えた球根が芽を出した状態(芽出し球根)の苗がお店に並びます。芽出し球根の苗は、球根から育てる自信がない人でも手軽に育てる事ができたり、秋に植え忘れてしまったときにも楽しめるのでとってもおすすめです。
芽出し球根を使って寄せ植えを作ると、植えて一週間もすると花芽がすっと伸びたり、すぐに生長の様子を見て楽しむことができます。スイセン、ムスカリ、ハナニラのように数年植えっぱなしで大丈夫な球根を選ぶと、しばらく毎年花を咲かせることができます。
▼芽出し球根の寄せ植えの作り方はこちら
芽出し球根と季節の草花を使った寄せ植え
2月頃はまだ寒さが続くのですが、芽出し球根の苗が園芸店に並ぶ姿を見ると春がそこまで来ていることを感じて嬉しくなります。
写真は、ヒヤシンス、アネモネ、ムスカリの芽出し球根を使った寄せ植えです。まだ蕾の状態の芽出し球根を使って寄せ植えを作ると、こんな風に小さな森のような景色ができます。植え付けから一週間ほどすると根付き始め、晴れて少し寒さが和らぐような日に少しずつ生長して花茎が伸びます。春になると芽出し球根も周りの草花も勢いよく育ってにぎやかになり、まるで違う寄せ植えに育つ姿を見るのも楽しいですよ。
▼渋谷園芸の樺澤智江さんに教わったムスカリの芽出し球根を使った寄せ植えはこちら
球根を使った寄せ植えの管理ポイント
置く場所
秋植え球根は生育初期に寒さにあたることが必要条件なので、必ず外の日当たりと風通しの良い場所に置きましょう。土が湿ったままの状態が続くと球根が土の中で腐ってしまうことがあるので、長雨が続くようなときは屋根のある場所に移動させましょう。
水やり・肥料
土が湿っているときは水やりはせず、土が乾いたら株元に水やりします。冬はやや乾燥気味に管理すると、球根が腐らずに育ちます。寒さが厳しくなったら、凍ってしまわないように日中の暖かい時間帯に水やりしましょう。
肥料入り培養土を使って植え付ける場合は、球根には追肥はそれほど必要ありません。球根開花後に適量追肥しましょう。地上部に草花を植えている場合は、1カ月後から適宜追肥します。
花がら取り
咲き終わった花や古い葉は見た目も悪く、病害虫の発生の原因となるので早めに取り除きます。
球根の花後の管理
球根はスイセン、ムスカリ、原種のチューリップなどのように数年植えっぱなしでも育つタイプのものと、園芸品種のチューリップのように、できたら毎年新しい球根を植えた方が美しく咲くものや、掘り起こして乾燥させて保管しておいた方がよく育つものなど様々あります。それぞれの最適な管理方法を知っておくと翌年も花を楽しめます。
秋に球根を植えておくと、まだ寒い早春に健気に芽吹く球根の姿を見ることができ、いつもその力強さに感動します。球根を植え忘れた年は、可愛い芽出し球根が園芸店に出始めると春を感じて気持ちが明るくなります。ぜひ、お気に入りの球根や芽出し球根の苗をみつけて育ててみてくださいね。
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