11月の寄せ植えに使いたい花12選

戸松敦子
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11月の寄せ植えに使いたいメインの花と小花、カラーリーフをご紹介!11月はだんだん気温が下がり始め、時おり冬の寒さを感じるようになります。パンジーやビオラなど春まで長い間楽しめる花や、寒い冬を超えて春に咲くチューリップなどの球根を使った寄せ植えがおすすめです。11月の寄せ植えづくりのポイントや管理方法についてもお話しします。
目次
11月の寄せ植えづくりのポイント
11月は朝夕の気温が下がり、日中との寒暖差が出てくる季節。徐々に冬を感じるようになります。園芸店にはパンジーやビオラなど、秋から冬を超えて春まで花を咲かせる花苗が並ぶ月でもあります。寒くなってくるこれからの季節、植物はそれほど大きく生長せずにこんもり育ち、可愛い花を咲かせます。
また、チューリップ、ムスカリ、スイセンなどの春咲き球根の植え時は「紅葉が見頃を迎える頃」と言われ、関東地方では11月上旬頃がおすすめです。11月の寄せ植えをつくるときには、草花の根元に春咲き球根をしのばせて植えはいかがでしょうか。
草花の根元に春咲球根を植えておくと、まだ肌寒い春先に球根がムクムクと芽を出して花が咲きます。春の訪れを教えてくれる球根植物に計り知れないパワーを感じ、元気をもらう人も多いのでは。私も毎年感動します。
根がやわらかい一年草の根元であれば球根も芽を出しやすいので失敗も少ないです。草花と球根を一緒に植えると小さなスペースで両方楽しめ、球根の水やりも忘れずに行えるのでとてもおすすめです。
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11月は冬に近づき寒さも感じる季節。花が少なくなってくるシーズンに開花する低木や、葉が落ちることなく常緑で美しいカラーリーフ、寒くなると紅葉して色づく多肉植物の寄せ植えもおすすめです。
それでは、11月の寄せ植えに使いたい花12選を紹介していきます!
11月の寄せ植えに使いたい花12選
パンジー ~スミレ科 耐寒性一年草~
秋から冬を超えて春まで花を楽しめる花苗の代表といえばパンジー・ビオラ。この写真はパンジーです。パンジーとビオラの違いは花の大きさ。ビオラは3cm程度、それ以上大きなものはパンジーに分類されています。
11月になると様々な品種のパンジーが店頭に並びます。色合いも豊富ですが、咲き方もフリル咲き、八重咲きなど、変わった咲き方のパンジーも流通しています。花色は紫、白、ピンク、オレンジ、黄色、複色などがあります。
パンジーは太陽が大好きな花です。日が当たらないとひょろひょろと育ってしまうので日なたで育てましょう。
▼「フローラ黒田園芸」の黒田健太郎さんに教わったパンジーの寄せ植えはこちら
ビオラ ~スミレ科 耐寒性一年草~
ビオラはパンジーより小ぶりの花を秋から春まで咲かせます。パンジーは花が大きいので一つ一つの花が咲くまでに少し時間がかかりますが、ビオラはそれに比べると小さな花が次々と咲き、咲き終わると花びらが丸まってきてしおれます。しおれてきた花を摘み取ると次の花がどんどん咲きます。
ビオラもパンジー同様に色、形、咲き方の種類が豊富で、毎年魅力的な新品種も作り出されています。写真のビオラのように、うさぎ型の花が咲くビオラもあります。
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スイートアリッサム ~アブラナ科 耐寒性一年草~
スイートアリッサムは、小花がたくさん咲いて花束のようにこんもりと茂る姿が愛らしい植物です。秋から春まで咲く花苗のひとつで、パンジー・ビオラに合わせる小花にぴったりの一年草です。花色はピンク、白、紫、オレンジ、パステル色やアンティーク色まであります。
写真は、ビオラ数種に白と紫のスイートアリッサム、アイビーを合わせてつくったリースです。アリッサムの控え目な小花が、ビオラの華やかさを引き立てています。スイートアリッサムも単体で植えるより小花の可愛らしさが引き立っているように思えます。
最近では、日本の夏にも耐えられる「スーパーアリッサム」という園芸種も出回っています。写真は、斑入りのスーパーアリッサムです。普通のスイートアリッサムは暑さに弱い一年草ですが、スーパーアリッサムは暑さ寒さに強く、春と秋に開花する多年草です。
アリッサム(スイートアリッサム)
- アリッサムは地中海沿岸原産の多年草(一年草)です。「スイートアリッサム」の名前でも親しまれています。小花がたくさん咲き、花束のようにこんもりと生い茂る姿が何とも愛らしい植物です。 アリッサムは横に広がる性質を持つので、グランドカバーの他、寄せ植えの引き立て役や花壇に植える花として人気があります。高温多湿には弱い植物ですが、乾燥に強く丈夫であるため、園芸初心者には最適の草花です。また、比較的多く出回り、安価で手に入れやすく、生育が良いことも人気の理由の一つです。 アリッサムはカスミソウのように控えめで愛らしい花で、ピンク、白、紫、オレンジと様々な色があり、自分の好みや庭、プランターの雰囲気に合わせて選ぶことができます。最近では日本の夏にも耐えられる「スーパーアリッサム」という園芸種も出回っています。 アリッサムは本来は多年草ですが、湿気に弱いため、日本では一年草扱いをされていることが多いようです。うまく環境にあえば、多年草化することもあります。
シルバーレース ~キク科 耐寒性多年草~
シルバーレースは、レースのような葉をしたシルバーリーフ。シロタエギクに比べると葉の雰囲気が繊細です。寒さに強く丈夫で育てやすい植物です。寄せ植えする際は、株分けして数ヵ所に植えることもできます。
写真のように、繊細な葉のシルバーレースとパンジー・ビオラを組み合わせ寄せ植えをつくると、上品でやさしい雰囲気に仕上がります。
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チューリップ(球根) ~ユリ科 耐寒性球根~
チューリップは春に花を咲かせる球根植物です。草丈は種類によりますが、15~60㎝ほどになります。花色は赤、白、黄色、ピンク、紫、複色など様々です。
チューリップの咲き方はユリ咲き、パーロット咲き、フリンジ咲き、八重咲きなどいろいろな咲き方があります。開花時期も種類によって異なり、大きく分けると早咲き、普通咲き、遅咲きの3時期があります。
チューリップの球根は直径3~4cmくらいのものが多く、玉ねぎのような形をしています。球根の先はとがっていて、その先端から花茎や葉を伸ばします。交配種のチューリップの球根は植えた年はよく咲きますが、翌年以降は充実した花を咲かすことが難しいので毎年球根を購入するのが一般的です。
一方、写真のような原種のチューリップは2~3年植えっぱなしでもよく咲きます。原種のチューリップは交配種と比べると、花が小さく丈も低く葉もほっそりしていて、野趣に富んだ草姿をしています。
チューリップ
- チューリップは春に花咲く球根植物です。チューリップの球根は直径3cmほどのものが多く、玉ねぎのような形をしています。この球根を地面に植え育てるのです。球根の先はとがっていて、その先端から花茎や葉を伸ばします。花茎の背丈は種類にもよりますが、15cmよりも下のものはありません。おおよそ15cm~60cmのものまでが主に出回っています。花びらの色は皆さんも良くご存知の様に赤、白、黄色をはじめ、ピンク、紫、複色などさまざま。咲き方も、ユリ咲き、パーロット咲き、フリンジ咲き、八重咲きなどいろいろな咲き方があります。チューリップの開花時期は、大きく分けると、早咲き、普通咲き、遅咲きの3時期があります。同じチューリップでも開花の時期がかなり違うので、違う開花時期のものを一緒に寄せ植えすると、開花時期がずれてしまい見栄えが悪いので、鉢植えに植える場合は単一種を植え付ける方が一般的です。 チューリップの育て方で大切なことは 1.よい球根を選ぶこと 2.適切な場所に植えて、適量の水やりをすること 3.寒さに当てること です。
▼チューリップの育て方のコツはこちら
スイセン(球根) ~ヒガンバナ科 耐寒性球根~
スイセンは、早春に花を咲かせる春を告げる球根植物。白と黄色以外にピンクや緑、オレンジなど、色とりどりの花が咲きます。種類が豊富で八重咲種もあります。草丈は25~35㎝くらいです。スイセンは数年間は植えっぱなしで管理でき、環境が合えば球根が年々増えていきます。
スイセンの球根はこんな形をしています。球根のサイズは種類によっても違いますが、だいたい直径3~4㎝ほどです。
水仙(スイセン)
- 水仙(スイセン)は、早春に花を咲かせる春を告げる球根植物のひとつです。白と黄色以外にピンクや緑、オレンジなど、色とりどりの花が咲きます。水仙(スイセン)の園芸品種の数は数万品種もあり、とても種類が豊富です。品種によって一本の茎から一本の花が咲く種もあれば、日本水仙のような房咲き種もあります。最近では八重咲種など、新品種の水仙(スイセン)が毎年のように登場します。水仙(スイセン)は、主に冬咲きと春咲きの品種が多いですが、中には秋に咲く品種もあります。 水仙(スイセン)は、数年間は植えっぱなしで管理でき、環境が合えば球根が年々増えていくのでガーデニング初心者にはおすすめの球根の花です。球根をまとめて植え付けておくと、年々分球し、とても見事な空間となります。日本全国には、たくさんの水仙(スイセン)の群生スポットが存在します。
▼スイセン、ムスカリなどを使った芽出し球根の寄せ植えはこちら
ムスカリ(球根) ~ユリ科 耐寒性球根~
ムスカリは春にブドウのようなユニークな花を咲かせる球根植物です。草丈は15cmくらい。花色は青、紫、白、黄、ピンク、複色など様々あります。
ムスカリの球根はこんな形をしています。直径1.5~2㎝くらいの大きさです。根っこが出ている部分を下にして植えます。ムスカリの球根は、植えっぱなしでも自然に分球して増えて毎年花を咲かせます。
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カルーナ ~ツツジ科 耐寒性常緑低木~
カルーナは樹高20~80㎝の低木です。コニファーのような枝がこんもりと密生して茂ります。樹木ですがそれほど大きくならないので寄せ植えのアクセントに使いやすいです。花色は白、ピンク、紫などがあり、葉色も豊富で、特に冬期は赤や黄色に美しく色づくものが多くあります。
- カルーナはエリカに似ている常緑低木で、エリカと同じくヒースとも呼ばれます。美しい花や葉が好まれて観賞用として広く栽培され、1000種を越える園芸品種があると言われています。グランドカバーや花壇植え、寄せ植えなどによく用いられます。 冷涼な気候を好み、シベリア、ヨーロッパ、北アフリカに分布しており、原産地では夏咲きが主ですが、高温多湿に弱いので日本では晩秋に開花株が出回り、冬咲きのようになっています。寒さには強いのですが、夏越しが難しいため、秋冬に花を楽しむ一年草として育てられることも多いです。環境が合って夏越しが上手くいけば、再び花を楽しめます。 カルーナは茎の上部に総状花序を出し、花径5㎜ほどの小さな花をたくさん咲かせます。花に見える部分は本当は萼片で、本来の花はその中にあります。花が咲き終わっても萼が残るので、花後もしばらくは花が咲いているように見えます。花色は赤、ピンク、白、紫などがあり、一重咲きの他、八重咲き品種も流通しています。葉色も豊富で、寒くなると赤や黄色に色づくタイプもあります。樹高は20cm~80cmほどでこんもりと茂ったり、地面を這うように生長するタイプがあります。
エリカ ~ツツジ科 耐寒性常緑低木~
エリカもカルーナと同じ、寒さに強い常緑低木です。鉢植えではそれほど大きくならないので寄せ植えにも使えます。秋から春にかけての花の少ない季節に開花します。冬の寒い時期を得意とし、夏の高温多湿が苦手です。花色はピンク、白、黄色、赤と豊富で、スズランのような咲き方から、ラッパのように突き出すような咲き方のものまで様々あります。
▼グリーンギャラリーガーデンズの土谷ますみさんに教わった、エリカとカルーナを使った寄せ植えはこちら
ワイヤープランツスペード ~タデ科 匍匐性常緑小低木~
ワイヤープランツスペードは、葉がスペード型のワイヤープランツです。横や上にふんわりと広がる枝が寄せ植えに動きをプラスしてくれるアイテムになります。ワイヤープランツスペードを寄せ植えに使うと、とてもアーティスティックに演出できます。
- ワイヤープランツは小さなグリーンの葉が可愛らしい、匍匐性常緑小低木です。ワイヤープランツという名前の通り、細いワイヤー(針金)の様な茎が特徴的です。ある程度耐寒性があり、地域によって差はありますが冬でもグリーンの葉を絶やしません。生育旺盛で、露地植えにするとどんどん広がっていきます。華奢なワイヤーのような茎はツルのように見えますが、ツル性ではありません。 環境が合えば、春から夏にかけて小さな花とその後に種子ができます。とても小さく見つけにくい花と実ですが、光沢のあるグリーンの葉よりも明るい黄緑色の花が咲くので、注意深く観察してみましょう。 ワイヤープランツは霜に当たると葉が落ちてしまうことがありますが、根が生きていれば春の暖かくなったころにまた新芽を出し始めます。葉が落ちたら短く刈り込んで軒下に移動するなどの寒さ対策を行いましょう。また、剪定のときに切った枝は水に挿しておくことで発根するので、水耕栽培で楽しむことができます。
アイビー ~ウコギ科 耐寒性常緑木本~
アイビーは寄せ植えのアクセントに使うポピュラーなツル性植物。普通と思われがちですが、実は葉の模様が様々あり、白い斑が入っているものやグレーやライトグリーンなどのマーブル模様の葉があったり、葉の形も丸みがあるものやハート型、シャープなタイプ、大ぶりの葉や小葉の繊細なタイプもあります。アイビーの中でもどのタイプの葉を使うかによって、寄せ植えの雰囲気が全く変わるので不思議です。
写真のように、アイビーやワイヤープランツなどの常緑の植物だけを集めてグリーンリースをつくつこともできます。寒さや暑さに強いグリーンだけでつくっているのでオールシーズン葉の美しさを楽しめることが魅力です。
アイビー(ヘデラ)
- アイビーはウコギ科キヅタ属に分類されるツル性植物で、属名のヘデラの名前でも流通しています。葉の模様が様々あり、白い斑が入っているものやグレーやライトグリーンなどのマーブル模様の葉などがあります。アイビーは性質も非常に強健で屋外で難なく越冬することができます。そのためグランドカバープランツとして使用されることもあります。 また、地面に植えたアイビーは家屋の壁に活着し、外壁を覆いつくしてしまうこともあります。アイビーは水耕栽培でも育てることが出来るため、いろいろな模様のアイビーを少量ずつビンやビーカーなどに水挿しにするとインテリアにもなります。アイビーは耐陰性もあるため、出窓のある洗面所などに置くこともできます。
▼アイビーを使った一年中常緑のグリーンリースの作り方はこちら
多肉植物
多肉植物は、ぷっくりとした葉にたくさんの水分をたくわえることで乾燥地帯でも生育することができる植物です。
夏の間青々としていた多肉植物は、秋になると少しずつ葉色が濃くなり、種類によっては紅葉するものもあります。寒くなってくるこれからの季節には蒸れることを心配しなくてよいので、隙間をあけずにきゅっと詰め込んで寄せ植えもつくることができます。
多肉植物は種類によって耐寒性が異なるので、寒さにあまり強くないタイプの多肉植物を使った寄せ植えは、冬の間は室内の窓辺で乾燥気味に育てて楽しむのもいいですね。
▼多肉植物を使った寄せ植えの作り方はこちら
11月の寄せ植えの管理ポイント
11月の寄せ植えで一番のおすすめは、何といっても草花と春咲き球根でつくる寄せ植えです。
「ダブルデッカー」とは、2階建て車両(バス、電車、船)を意味しますが、ガーデニングでは球根を2層に植えることを「ダブルデッカー」と言います。「トリプルデッカー」は3層植えのことです。11月に草花と一緒に球根を植え、春に草花の間から球根の芽が出てくるのを楽しみに育てましょう。
置く場所
寄せ植えは屋外の風通しの良い日なた~半日陰に置きます。
水やり・肥料
土が乾いたら株元にたっぷりと水を与えましょう。寒さが厳しくなったら、水分が凍ってしまわないように日中の暖かい時間帯に水やりしましょう。冬は地上部の草花が枯れない程度にやや乾燥気味に管理すると、根元に植えてある球根が腐らず育ちます。
植え付けるときに肥料入りの培養土を使った場合は、肥料は1カ月後から与えます。
花がら取り
咲き終わった花や古い葉は、見た目も悪く病害虫の発生も促すので早めに取り除きます。
冬越し
今回紹介した秋から春まで咲く花苗を使った寄せ植えは、温暖地では屋外で春まで長い期間楽しむことができます。雪が降ったり霜がとても強い場合は、軒下に移動させるなどの対策を行いましょう。