枝ものの生け方や飾り方、春夏秋冬ごとに長持ちする種類を紹介

山田智美
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インテリアにおすすめの枝ものの種類を春夏秋冬に分けて紹介します。室内に季節感を取り込める枝ものを生けて飾ってみませんか。
目次
枝ものとは?
枝ものとは、切り花で流通している枝の俗称です。草花などの花に対して枝ものという呼び方をします。花木の枝、葉を観賞する枝、実付きの枝ものなど種類は様々。
枝ものは高さや大きさを出せるので、空間で存在感を示します。枝ものを飾るだけで、同じインテリアでも雰囲気を変えることができるのも魅力です。さらに花に比べて長持ちするというメリットもあります。
枝ものはどこで買えるの?
枝ものは生花店で買えます。お店によって品揃えが違うので、お気に入りの生花店を見つけるとよいでしょう。好みの枝ものを購入するために、生花店をハシゴするのも休日の楽しみになりそうです。
枝ものとインテリアの関係
枝ものはボリュームがあるので、1本でも存在感とインパクトがあります。枝ものそれぞれの個性で、空間の雰囲気を一気に変えてしまう効果があります。
インテリアを変えなくても、枝ものを生けるだけで部屋の雰囲気が変わります。枝ものをインテリアの一部と考えて季節や気分に合わせて飾れば、模様替えをしなくてもちょっとした気分転換が楽しめます。
さらに室内に枝や葉があるだけで、自宅に居ながら森林浴を楽しんでいるような気分になれるのも魅力です。
枝ものの生け方や花瓶選びのコツ
枝ものと一口に言っても大きさや重さは様々。それぞれのサイズに合わせた花瓶が必要です。高さのある枝ものを生けるなら深さのある花瓶を、重たい枝ものを生けるなら花瓶も重くて安定感のあるものが必要です。
花瓶と枝のバランスが悪いと倒れてしまう危険があります。枝ものを購入する際には手持ちの花瓶と相談してサイズ選びをするとよいでしょう。また、不透明な花瓶を選べば、中に重しとして石やレンガを仕込んで安定させることもできます。
枝ものの飾り方
枝ものは空間の雰囲気を大きく変えるような存在。せっかくなら部屋のよく見えるところに飾りたいものです。
そうは言ってもいきなり部屋の中央にどしんと置いてしまっては邪魔になってしまいます。生活動線に配慮して、邪魔にならず、視界に入りやすい場所を選ぶとよいでしょう。
本棚やテレビボード、リビングの片隅、サイドテーブルの上、ダイニングテーブルの上に低く生けても素敵です。
枝ものの扱い方
枝ものは、細い枝は一文字、太い枝は十文字に切れ込みを入れると水の吸い上げが良くなります。また、水につかる部分の木の肌をそぐと吸水面積が増えるので、より水が枝先まで上がりやすくなります。
長持ちする枝ものの種類|春夏秋冬
春におすすめの枝もの13種
ロウバイ
- 出回り時期:12月~2月
ロウバイは、初春に香りの良い花を咲かせる花木。明るい黄色の花が印象的です。露地で開花を楽しめるのは、関東なら1月後半からですが、枝もののロウバイは年末から市場で出回り始めます。
ミモザ
- 出回り時期:2月~3月
ふわふわとした黄色の花がかわいらしいミモザ。花が咲いた状態の枝もののミモザは、2月頃から出回り始めます。
ミモザは水落ちしやすい花。そのため生花のふわふわの花が楽しめるのは数日ですが、きれいなドライフラワーにできるという特徴があります。ドライフラワーのミモザは長く楽しめます。
- 「ミモザ」はギンヨウアカシアやフサアカシアなど、黄色い房状の花を咲かせるマメ科アカシア属の総称です。シルバーリーフと呼ばれる銀色がかったグリーンの葉が特徴的な半落葉~常緑高木です。本来の「ミモザ(mimosa)」はオジギソウの学名ですが、黄色の房状の花が咲くアカシアの仲間の呼び名として使われています。 ミモザ(アカシア)は庭木としても人気です。銀色がかったグリーンの葉と、春先に咲く明るい黄色の花のコントラストが美しい樹木です。ただしミモザ(アカシア)は庭植えにすると非常に大きくなるので、植える場所を考える他に毎年の剪定が必要になります。 3/8は国際女性デーといって、女性の政治的自由と平等を訴える日として国連が制定しています。この日はイタリアでは「女性の日」とされ、女性への日頃の感謝を込めて、男性から女性へミモザ(アカシア)の花を贈る習慣があります。日本でも「ミモザ(アカシア)の日」とされ、女性へミモザ(アカシア)の花を贈る習慣が定着しつつあります。
桃
- 出回り時期:2月~3月
桃は、ピンク色の花を咲かせる花木。ひな祭りに飾られる花としても有名です。花付きが良く、枝ぶりがコンパクトで飾りやすい枝ものです。
桜
- 出回り時期:1月~3月
桜は、日本の春を代表するような花木です。枝ものの桜は、1月頃から啓翁桜などの早咲き種が出回り始め、順に河津桜や陽光桜、染井吉野が出てきます。
- 桜(サクラ)はバラ科サクラ属の総称です。 日本の春の花代表である桜(サクラ)は種類が多く、日本に自生している種類だけでも10種類前後、園芸用に品種改良された桜(サクラ)は300品種以上もあります。民家の庭から公共施設の公園や街路にも植えられている樹木です。早咲きの桜(サクラ)は2月くらいから、それに続くように3月から4月にかけて多くの種類が次々と咲き続けます。さらに秋に咲く品種もあります。 桜(サクラ)は非常にバリエーションが豊富で、花色は白から薄桃色、濃い桃色、薄黄色やグリーンなどがあります。咲き方も一重のものから八重咲まで多様です。サクランボが実る西洋実桜(セイヨウミザクラ)も桜(サクラ)の一種です。 春のお花見シーズンに華やかに咲く桜(サクラ)は染井吉野(ソメイヨシノ)という品種です。この染井吉野(ソメイヨシノ)は若木でも花を咲かせる特徴があり、戦後日本中に植えられました。今では日本の桜(サクラ)の代名詞のようになっています。
アオモジ
-
- 出回り時期:12月~3月
アオモジは、グリーンの小さなつぼみがたくさんついた状態で販売されている花木。この小さなつぼみは生けている間に開いて、小さなグリーンの花を楽しめるようになります。
キブシ
- 出回り時期:2月~3月
キブシは、薄黄色のかんざしのような花が印象的な花木です。華やかさはありませんが、独特のフォルムで存在感を発揮する枝ものです。
コブシ
- 出回り時期:2月~3月
コブシは、白い花をたくさん咲かせるマグノリアの仲間です。
暖かい部屋の中で次々と花を咲かせます。
ハクモクレン
- 出回り時期:2月~3月
ハクモクレンは、白い花が美しいマグノリアの仲間。硬いつぼみの状態から生けて、開花するまで楽しめます。
ミツマタ
- 出回り時期:2月~3月
ミツマタは、どこまでも枝が3つに分岐するという特徴を持つ花木。淡い黄色の砂糖菓子のような花が印象的です。低木なので枝ものとしても小ぶりで花瓶をあまり選ばず生けやすいのも魅力です。
ヒュウガミズキ
- 出回り時期:12月~3月
ヒュウガミズキは、細く華奢な枝に小さなクリーム色の花をたくさん咲かせる花木。空間に小さな花が舞っているようなかわいらしさがあります。枝が細く華奢なため重さもあまりなく、生けやすい枝ものです。
開花前の芽吹き枝としても出回り、部屋の中で次々と花を咲かせます。
ハナミズキ
- 出回り時期:3月~4月
ハナミズキは、春に白やピンクの花を咲かせる花木。葉が出る前に花を咲かせるので、花だけを楽しむことができます。
- ハナミズキはミズキ科の落葉樹で、桜(ソメイヨシノ)が咲き終わるころ、白やピンクの美しい花が開花します。北米原産でアメリカを代表する花のひとつで、別名「アメリカヤマボウシ」とも呼ばれています。 昔は桜やイチョウなどが多かった街路樹ですが、令和4年4月現在、東京都内の街路樹で一番多いのがハナミズキです。樹齢が古くなると10m以上まで生長しますが、桜やイチョウほど大きくならないのも最近の街路樹として利用される原因かもしれません。現在は全国各地に分布し、極端に寒さの厳しい地域以外なら栽培可能です。寿命は桜と同じく80年程度と言われています。 花だけでなく、花が終わった後に出てくる葉も美しく、枝は横に広がるように生長します。 秋になると赤い実がなり、紅葉した後に落葉します。落葉樹の中では、色づきだすのと葉が落ちるのが早いほうです。自然樹形が美しく、花、葉、実、紅葉、樹形と、一年を通して見どころの多い樹木なので、街路樹のほか庭木にもよく利用されます。
ユキヤナギ
- 出回り時期:2月~4月
ユキヤナギは、真白な小花を枝垂れる枝いっぱいに咲かせる花木。低木なので小ぶりで生けやすいのが特徴です。小花は咲き切るとはらはらと舞い始めますが、それもまたユキヤナギの美しさの一つです。
夏におすすめの枝もの7種
ドウダンツツジ
- 出回り時期:3月~9月
ドウダンツツジは、5枚に広がる小葉と横に広がる枝ぶりが美しい枝もの。明るいグリーンの葉が美しいドウダンツツジは、春から夏に出回ります。1本でも存在感があり、和洋関係なくインテリアにも馴染みやすいので人気の枝ものです。
スモークツリー
- 出回り時期:5月~8月
スモークツリーは、ふわふわとした羽毛のような花が魅力の花木。花色はグリーンからボルドーカラーまであります。
- スモークツリーは、初夏になると穂状の花序に小さな黄色の花が無数に開花します。雌雄異株で、タネを結ばない不稔花である雌木の軸の部分(花柄)が長く伸びて、羽毛のようなふわふわとした触感と見た目になります。雄木の花柄は雌木に比べて小さいので、煙がくすぶっているようには見えません。切り花や庭木として植栽されているのは雌木です。花柄は長いもので20cm以上にもなります。開花後のスモークツリーの花柄が、煙がたっているかのように見えることが名前の由来です。庭木の他、花柄が付いた枝ものとして初夏に多数流通しています。 スモークツリーは花柄だけでなく、葉も魅力的で、紅葉も美しい樹木。暑さ寒さにも強く、手入れが簡単なこともあり、おしゃれな庭木として人気です。ウルシ科のため、剪定した際の切り口に素手で触れるとかぶれることがあります。ヤニもあるので、作業で触る際には手袋をするようにしましょう。 ▼スモークツリーの関連記事はこちら スモークツリー|初夏に花が咲くおしゃれな庭木 スモークツリー トゥデイズプランツ、今回ご紹介するのは「スモークツリー」。初夏に咲く、ふわふわした花が魅力的… 戸松敦子 2022.05.31 庭木・シンボルツリー
フサスグリ
- 出回り時期:6月~8月
フサスグリは、宝石のようなキラキラとした真赤な実をつける枝もの。花が少なくなる夏に彩りを与えてくれます。低木なのであまり大きくなく、生けやすいサイズであることも魅力です。
マートル
- 出回り時期:真夏を除く通年
マートルは、和名をギンバイカともいう枝もの。常緑なので、真夏以外は通年出回っっています。光沢のある青々とした葉が美しい枝ものです。銀香梅(ギンコウバイ)や祝いの木という名で販売されていることもあります。
ギンバイカ(マートル)
- ギンバイカ(マートル)は、梅の花に似た白い小さな花をたくさん咲かせる常緑低木です。花が梅に似ていることから「銀梅花」という名が付けられました。 冬にはオリーブに似た黒い実を付けます。ギンバイカ(マートル)は花や実が美しいだけでなく香りも良いため、「ギンコウバイ(銀香梅)」と呼ばれることもあります。光沢のある卵形のグリーンの葉にも芳香があり、ハーブとして肉料理などに使われます。精油にも用いられ、ハーブとして扱われる場合は「マートル」という名前で流通しています。 丈夫で育てやすく、病害虫の心配もありません。日当たりの良い場所に植えると花付きが良くなります。関東以西では屋外で越冬できるため、鉢植えだけでなく庭木やシンボルツリーとして人気があります。常緑で葉の密度も高く、刈り込みにも耐えるので、生垣やトピヤリーの素材としてもよく使われます。 ギンバイカ(マートル)は、ヨーロッパでは古くから神聖な樹とされ「祝いの木」とも呼ばれて結婚式にも使われてきました。現在も結婚式の装飾や花嫁のブーケの材料にギンバイカ(マートル)が使われています。 同じフトモモ科の植物にギンバイカ(マートル)と名前が似ているレモンマートルがありますが、ギンバイカ(マートル)はギンバイカ属、レモンマートルはバクホウシア属の別の植物です。
ユーカリ
ユーカリ・ポポラス
- 出回り時期:通年
ユーカリは、南半球原産の樹木。枝ものとしては通年流通していますが、夏の暑さに負けず長く楽しめるので、夏に活躍してくれる枝ものです。最近はたくさんの品種が出回っています。
ユーカリ
- ユーカリはフトモモ科ユーカリ属の常緑高木です。自生地では100m程の高木になるものもあります。ユーカリは非常に種類が豊富で現在確認されているものだけでも800種は優に超していると言われています。 ユーカリは枝葉の他、花や果実にも芳香があるのが特徴です。リラックス効果や虫除け効果があると言われ、精油やハーブティー、化粧品などで利用されています。 最近ではユーカリの切花も人気で、生花店の店頭でも頻繁に見かけるようになりました。ドライフラワーになりやすいというのも人気の理由で、スワッグやリースなどの花材としても多く利用されています。 ユーカリは品種を選べば日本でも庭木として楽しむことができる樹木です。ただし庭植えにすると思いのほか高木になるので、植える場所を考えてからにしたほうがいいでしょう。鉢植えのユーカリは剪定を行うことで、ある程度サイズの管理ができます。 ユーカリの葉はコアラが食用にすることでも有名ですが、ユーカリの葉であれば何でもいいということはありません。実際にコアラが食用とするのは800種以上もあるユーカリのうちの数種類だそうです。
キイチゴ
- 出回り時期:2月~9月(通年)
キイチゴは、別名ベビーハンズという名前でも呼ばれる枝もの。明るいグリーンの葉が印象的です。通年流通していますが、春から夏に瑞々しいグリーンを楽しめる時期です。
ブルーベリー
ブルーベリーは、青みがかった丸い果実が特徴の果樹。実の付いたブルーベリーの枝ものは、初夏から夏にかけて出回ります。初夏にはまだグリーンの実、夏にかけて段々と色づいた実の枝ものが増えていきます。
- ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に分類される北アメリカ原産の落葉低木で、種類は200~300種あると言われています。初夏に白やピンクの花が咲き、7月~8月頃に紫色の小さな実が収穫できます。秋には美しい紅葉も楽しめ、寒さに強く丈夫な樹木であることから、庭木としても人気があります。低木なので鉢植えにしてベランダなどでも十分に収穫が楽しめます。地植えにすると大きく育って収穫量も増えます。虫が付きにくく無農薬栽培がしやすいことも魅力のひとつです。 ブルーベリーは1品種の苗木でも結実しなくはないですが、たくさん収穫したい場合は同一系統の2品種を植えるとよいでしょう。実が黒みがかった紫色になると食べ頃です。収穫期の実はやわらかいので、下から手を添えてやさしく摘み取りましょう。
秋~冬におすすめの枝もの12種
マユミ
- 出回り時期:9月~11月
マユミは、秋にピンク色のかわいらしい実を付ける落葉樹。ピンク色の小さな実を枝からぶら下げる姿は、派手さはありませんが、いつまでも眺めていたくなるようなかわいらしさです。
ガマズミ
- 出回り時期:9月~11月
ガマズミは、赤い小さな果実をたくさん実らせる落葉樹。実付きのガマズミは、空間の雰囲気を一気に秋へと変えてくれます。ガマズミの仲間にはガマズミの他、ビバーナムティヌスやビバーナムコンパクタなどがあります。
ドウダンツツジ(紅葉)
- 出回り時期:10月~11月
夏のドウダンツツジに変わり、秋には真赤に紅葉したドウダンツツジが出回ります。秋の深まりを感じさせるような枝ものです。
サンキライ
- 出回り時期:8月~12月
サンキライは、つる性の枝に小さな実を実らせる枝もの。晩夏からグリーンの実が付いた枝ものとして流通し始め、秋が深まるにつれて赤い実へと移っていきます。
サンキライの赤く色づいた実は、クリスマスやお正月の飾りにも使用されます。
- サンキライ(山帰来)は、日本全国の山地に自生するつる性の落葉低木。つるにはトゲがあり、葉の付け根から巻きひげが出ます。節ごとに茎がジグザグに折れ曲がりながら近くのものに絡みついて伸びます。猿がトゲだらけのつるに絡まって捕まってしまうことをイメージして、猿捕茨(サルトリイバラ)とも呼ばれています。切り花では、トゲの無い品種も出回っています。 4月~5月頃に若葉と同時に淡い黄緑色の花が咲きます。雌雄異株で、雌株と雄株が近くに無いと結実しません。葉は先がとがったタマゴ形。長さは約5cmほどで、固く丈夫で光沢があります。実は直径1cmくらいの丸い形をしていて、数個がまとまってつきます。赤い実が有名ですが、熟す前の5月~8月頃の実は爽やかな緑色の瑞々しい状態で、水揚げが必要な切り花としてお店に並んでいます。10月~11月頃には赤く熟し、ドライフラワーとしてクリスマスやお正月の飾り付けなどに用いられます。枝をくるくると丸めていき、何ヵ所かワイヤーや紐などでとめるだけで簡単にリースが作れます。 サンキライ(山帰来)は性質が強く、一度植えたら自然に生長してつるを伸ばします。地植えにすると、地下茎で増えてあちこちから芽を出します。庭などに地植えする場合は、地下茎で増えても良い場所をしっかりと見極めてから植えましょう。鉢植えで育てても、こぼれ種で違う場所から芽が出ることがあります。トゲがあるので剪定や誘引などをする時は、トゲが刺さらない手袋をするようにしましょう。 山帰来とは「山から帰って来た」という意味で、諸説ありますが、昔は根茎を生薬として使ってきた歴史があったり、山で病にかかった人がこの実を食べて元気に帰ってきたことから、そのような名が付いたと言われています。また、古くから西日本では、サンキライ(山帰来)の丸い葉は餅やだんごなどを包む葉としても使われてきたそうです。
ノバラ
- 出回り時期:9月~12月
ノバラは、晩夏から冬にかけて出回る枝もの。晩夏にはグリーンの実、秋から冬には赤い実になります。大きくしなるような枝が印象的です。赤く色づいたノバラの実は、クリスマスの装飾にも使用されます。
ムラサキシキブ
- 出回り時期:9月~11月
ムラサキシキブは、紫色の小さな実を実らせる落葉樹。華奢な枝と小さな紫色の果実が印象的で、独特の存在感のある枝ものです。
- ムラサキシキブ(紫式部)は、秋に実る紫の実が美しい日本原産の落葉低木です。古くから山地の湿地や森林に自生しています。葉の色は実がなりだす初秋は緑、秋が深まってくると徐々に黄色く色づき、紫色の実と葉の色合いが目を引きます。その美しい実から英名ではJapanese beautyberryとも言われています。実は葉が落葉した後もしばらくついていますが、冬に自然に落下します。 ムラサキシキブ(紫式部)の近縁にコムラサキがあり、流通上はコムラサキも含めてムラサキシキブ(紫式部)として販売されています。園芸店で販売されているムラサキシキブ(紫式部)はコムラサキの方が多いため、個人宅や公園などの公共スペースの植栽で見られるのはほとんどがコムラサキです。それぞれは樹高や実の付き方に違いがありますが(下記参照)育て方に違いはありません。
ヤドリギ
- 出回り時期:11月~12月
ヤドリギは、高木に寄生する半寄生植物。不思議なフォルムや伝承の多さから人気の枝ものです。特にクリスマスには欠かせない存在で、冬になると大きな木に寄生したものから小さなヤドリギの枝だけを束にしたものなどが出回ります。
ヤドリギ(宿木)
- ヤドリギ(宿木)は、樹木の枝に丸く球のように付着する、常緑の半寄生植物です。高木の枝の途中に30㎝~100㎝くらいの緑色の球体となって寄生します。冬に公園やゲレンデなど広い場所で落葉した樹の枝にグリーンの大きなマリモのような塊を見たことはありませんか。冬の落葉樹に寄生している姿が有名ですが、常緑樹にも寄生します。 ヤドリギ(宿木)はそんなに珍しい植物ではありません。国内では、沖縄以外の至るところで見かけられます。落葉樹の葉がなくなる冬に、高木の上の方の枝で見かけることが出来ます。ヤドリギ(宿木)は街中の公園や街路樹にも寄生しています。少し注意深く周りを観察すると、意外なところに生えています。
松
- 出回り時期:11月~1月
松は、日本のお正月には欠かせない枝もので、年末から新年にかけて多く出回ります。
梅
- 出回り時期:12月~2月
梅は、日本の新春を代表するような花木。お正月飾りや新年の花生けなどで重宝されます。枝に苔が生えた苔梅も風情があって美しい枝ものです。
- 梅(ウメ)は、初春のまだ寒い時期に香りのよい花を咲かせる落葉高木です。日本には中国からかなり古い時代に薬用として渡来しました。梅(ウメ)の樹高は10mに達しますが、3~5m程度で管理され、古くから花、香り、果実の3拍子揃った春を告げる落葉花木として全国各地で植栽され広く親しまれています。 梅(ウメ)の枝は広く張り、葉は長さ5~8cm程度で二重鋸歯があります。花は2年枝の細く短い枝に2.5センチ程度の花をつけます。梅(ウメ)は品種によって開花期に違いがあります。性質上、野梅性・緋梅性・豊後性・杏性の4系統に分けられますが園芸上は花を観賞する梅と果実の収穫を目的とする梅に分けられます。 果樹としては各地に産地があり、観賞樹としては庭や公園に春を告げる木として好んで植えられます。また、梅(ウメ)は花もの盆栽の代表格です。
千両
- 出回り時期:11月~12月
千両は、常緑の葉に赤や黄色、オレンジ色の実を実らせる枝もの。お正月飾りには欠かせない縁起物です。
- センリョウ(千両)は、山林の湿った半日陰地に自生し、晩秋に赤い実をつけるセンリョウ科の常緑低木です。極端な乾燥には注意が必要ですが、丈夫で育てやすい樹木です。 初夏に新梢の先端に穂状に小さく黄緑色の花が咲いたあと、直径5~6mmのツヤツヤした実をつけ、晩秋に赤く熟します。別名「草珊瑚(クササンゴ)」と呼ばれるほど鮮やかな色合いの実は、花が少なくなる冬に、庭木として明るい彩りを添えてくれます。 古くからナンテン(南天)やマンリョウ(万両)とともに縁起の良い木として親しまれ、お正月用の生け花の花材にも使われてきました。全国の花の卸売市場では、12月の半ばごろ、年に一度「千両市」というセリが行われ、そこで仕入れたセンリョウ(千両)が12月後半から店先に並びます。 センリョウ(千両)は、もともと仙蓼(センリョウ)と呼ばれていましたが、江戸時代に千両へと変わりました。その理由は、同じ赤い実をつける縁起の良いマンリョウ(万両)に似ているものの、マンリョウ(万両)より実つきが少ないためセンリョウ(千両)と呼ばれるようになったと言われています。
南天
- 出回り時期:11月~12月
南天は、真赤な実をたわわに実らせる枝もの。お正月飾りに欠かせない縁起物として年末に多く流通します。
- 南天(ナンテン)は、赤い実がお正月の花材として欠かせないメギ科の常緑低木で、古典園芸植物の一つです。日本では関東以西で自生し、栽培も容易です。初夏に白い花が開花しますが、一般的には赤い実の季節の冬が鑑賞期で、もっとも目立つ時期です。 南天(ナンテン)は、冬でも濃い緑が茂る様子や赤い実をつける特徴から縁起物として好まれ、古くから魔除け、厄除け、無病息災を願い、多くの家庭で栽培されてきました。 和名の「南天」は、難を転じる「難転」や「成天」の意味合いで、不浄をはらうために玄関やお手洗い、鬼門と呼ばれる方角に方位よけとして植えられるようになりました。 南天(ナンテン)は観賞するだけでなく、実を焼酎、氷砂糖とともに漬け込んだ南天酒は咳止めや喉の痛みなどの民間薬として利用されてきたほか、「南天のど飴」として販売されています。 お赤飯や煮物、魚など、料理の上に乗せられる南天(ナンテン)の葉は、縁起物としてだけではなく、防腐や殺菌を目的として使われています。
アセビ
- 出回り時期:通年
アセビは、光沢のある葉が印象的な常緑樹。通年流通していますが、冬のグリーンが少ない時期に重宝される枝ものです。また、冬から春には花芽の付いたものが出回ります。
- アセビ(馬酔木)は日本各地に自生するツツジ科の常緑低木です。庭木としても人気があり、個人の庭から公園、街路樹として広く利用されています。初春、沈丁花が咲く頃に白く小さな壺状の花をカンザシのように、房状に咲かせます。白花の他に赤花種もあります。顔を近づけるとほのかに芳香があるのも特徴です。光沢のある明るいグリーンの葉を手のひらを広げたように放射状に付けます。 街中で見かけるアセビ(馬酔木)はきちんと刈り込まれ、樹形が整えられていますが、山野では大きく生長し枝が暴れたようになっている姿も見かけます。 漢字の「馬酔木」は文字通り、馬がこの木を食べると酔ったようになってしまったことから当てられた漢字です。アセビ(馬酔木)には毒性があると言われているので、口に入れることのないように気を付けてください。
気になる枝ものはありましたか。存在感があり、長持ちする枝ものは室内の雰囲気を変えてくれるような効果があります。枝ものを飾るだけでいつもと同じインテリアに季節感を取り入れることもできます。枝ものを上手に利用して、植物のある暮らしを楽しんでください。
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