冬の寄せ植え|おすすめの花、作り方と管理のコツ
とまつあつこ
このライターの記事一覧
12月はクリスマス、1月はお正月と、冬になるとイベントや行事が続きます。定番のクリスマスカラーの寄せ植え、清楚なホワイトクリスマスをイメージする寄せ植え、新年を迎える豪華な寄せ植えなど、好みの寄せ植えを飾って、寒い冬も美しく咲く花たちから元気をもらいたいですね。
今回は、「冬の寄せ植え」の作り方のコツやおすすめの草花、デザイン例や管理ポイントなどを紹介します。
目次
冬の寄せ植えの作り方のコツ
寒さに強い花や、葉色の美しいカラーリーフを選ぶ
花の寄せ植えレッスン! | クリスマスを華やかに楽しむ冬の寄せ植え
写真の寄せ植えは、ガーデンシクラメン、エリカ、コプロスマ、ロニセラ、チェッカーベリーを使ってクリスマスのイメージを演出。赤、ブラウン、白、濃いグリーンと明るいグリーンの組み合わせです。
ホワイトクリスマスにするには、白いガーデンシクラメンや白の真珠の木を使ったり、ピンクの雰囲気にするには、ピンクのガーデンシクラメンとピンクの真珠の木、ピンクのカルーナとハツユキカズラなどに変えると全く違う寄せ植えに仕上がります。
▼渋谷園芸の樺澤智江さんに教わったクリスマスの寄せ植えはこちら
▼12月の寄せ植えにおすすめの花はこちら
冬は生長がゆっくりなのでつめ気味に植えてもOK
花の寄せ植えレッスン! | 愛らしくハボタンを魅せる寄せ植え
写真の寄せ植えは、白と紫とブラック系のハボタン、キンギョソウ、オレアリア、アイビーを使って、和にも洋にも合う雰囲気を作っています。冬は寒くて植物の生長がゆっくりなので、少しつめ気味に植えても蒸れたりせず、出来上がった時から春まで長い間美しい状態を保てます。特にハボタンは株元がスカスカしがちなので、つめ気味に植えた方が華やかに仕上がります。
▼渋谷園芸の樺澤智江さんに教わったハボタンを使った寄せ植えはこちら
▼グリーンギャラリーガーデンズの土谷ますみさんに教わった冬の寄せ植えはこちら
▼1月の寄せ植えにおすすめの花はこちら
2月頃には芽出し球根の苗を使ってみよう
2月頃になると、秋植え球根が芽を出して早いものは花が咲いている状態のポット苗(芽出し球根)が出回ります。写真の寄せ植えには、ムスカリが使われています。クリスマスローズ、プリムラ、ビオラ、タイム、コロキアと合わせて豪華な仕上がりになっています。
芽出し球根として流通するのはチューリップ、スイセン、ムスカリ、アネモネ、ラナンキュラスなど様々ありますが、芽出し球根を使うと、球根から育てるより寄せ植えに気軽に取り入れることができます。
▼渋谷園芸の樺澤智江さんに教わったムスカリを使った寄せ植えはこちら
▼【元気で活きのいい植物&マルシェオニヅカ】の井上盛博さんに教わったアネモネを使った寄せ植えはこちら
▼2月の寄せ植えにおすすめの花はこちら
冬の寄せ植えにおすすめの花
それでは、冬の寄せ植えにおすすめの代表的な花を紹介します。
ガーデンシクラメン ~サクラソウ科 半耐寒性球根~
ガーデンシクラメンの開花期は10月~4月頃。花色は赤、白、ピンク、紫などがあります。咲き方も一重、八重、フリル咲き、フリンジ咲き、傘咲きなど様々ありバリエーションが豊富です。
シクラメンと言えばお歳暮や贈答用にも用いられる室内で楽しむ鉢花の代表ですが、それに対してガーデンシクラメンはある程度の耐寒性があり、寒い冬も屋外で楽しむことができる特長があります。
ガーデンシクラメンは毎年のように新しい品種が登場しています。上手に夏越しさせると翌年も花を楽しめます。
▼ガーデンシクラメンの詳しい育て方や夏越し方法はこちら
▼ガーデンセンターさにべるの間室みどりさんに教わったガーデンシクラメンの寄せ植えはこちら
ハボタン ~アブラナ科 耐寒性多年草(一年草)~
ハボタンは寒さに強く、冬の間は生長がほとんど止まっていて美しい姿を保ちます。バラの花びらのようにも見える部分はハボタンの葉。ハボタンは葉を愛でる植物とされています。葉色は紫や白が主流ですが、写真のようにアンティークカラーの美しいハボタンもあります。大人っぽい寄せ植えにぴったりですね。
同じような色合いでも、色の出方や咲き方もそれぞれ違います。ミニハボタンの苗には数本の株が入っているものがあるので、株分けして寄せ植えに使うことができて便利です。
▼ハボタンについてはこちら
イベリス’ブライダルブーケ’ ~アブラナ科 耐寒性多年草~
イベリスは、白い花をブーケのように株いっぱいに咲かせます。イベリスは、上品さや爽やかさを演出したり、雪のイメージを作りたいときに重宝します。少し大人っぽい雰囲気に仕上がります。
イベリス’ブライダルブーケ’は秋冬に出回り、6月頃まで花を楽しめます。多年草タイプで毎年咲く丈夫な品種です。
▼イベリスの詳しい育て方はこちら
プリムラ ~サクラソウ科 耐寒性多年草~
写真はプリムラ・ジュリアンです。寒い冬にこんなカラフルで華やかなプリムラの花姿を見ると元気をもらえそうですね。花色は白、黄、赤、ピンクなどの単色から、白と紫、黄色と青のストライプのような個性的なタイプまであり、花の形も一重咲き、八重咲き、バラ咲きなど様々です。
写真はプリムラ・ポリアンサ’ディスカバリング・ストライプス’です。淡い色の花びらに、うすくストライプ模様が入っています。何とも言えない不思議な発色で深みがあり、他にも濃い青に白のストライプ、茶色に黄色のストライプなど色幅も様々です。
以前はこのような発色は評価されずに育種の段階で捨てられていたそうですが、今では絶妙な色合いの中に美しさがあるとされ、アンティーク調を好むガーデナーに好まれています。
▼プリムラの詳しい育て方はこちら
▼渋谷園芸の樺澤智江さんに教わったプリムラの寄せ植えはこちら
クリスマスローズ ~キンポウゲ科 耐寒性多年草~
クリスマスローズは、花が少ない冬の時期に花を咲かせる常緑の多年草。ややうつむきながら咲く花の顔をこちらに向けてみると、その美しさに魅了されます。お手入れもそれほど難しくないので初心者にもおすすめです。
クリスマスローズの花色は、白、ピンク、緑、紫、黄、黒、アプリコットなどがあります。咲き方も豊富で一重咲き、半八重咲き(セミダブル)、八重咲き(ダブル)など様々です。
花びらに見える部分は本当は「ガク片」です。本来の花びらは退化して蜜腺となり、雄しべの周りにあります。花が咲き終わってもガクは散る(落ちる)ことがなく、すなわち「ガク(学)が落ちない。」ということで、縁起が良い花「合格の花」とも言われているんですよ。
▼クリスマスローズの詳しい育て方はこちら
スキミア ~ミカン科 耐寒性常緑低木~
スキミアは秋にぷちぷちした蕾をつけ、3月頃に小さな白い花を次々と咲かせます。蕾の期間も合わせて秋から春まで長い期間楽しめる植物です。赤い蕾と緑色の葉の組み合わせがクリスマスカラーであることから、海外ではクリスマスシーズンの植物として人気があります。赤い蕾の他にグリーンの蕾の品種や、葉にクリーム色の縁取りが入る品種なども流通しています。
決して華やかな花ではないのですが、可愛い小花が順に咲いてくると春の訪れを感じてワクワクします。
▼スキミアの詳しい育て方はこちら
アネモネ ~キンポウゲ科 耐寒性多年草(球根)~
アネモネは、まだ花の少ない2月下旬くらいから5月頃まで華やかな花(花径10㎝ほど)を咲かせる球根植物。秋に植えると春に開花します。2月頃には、球根が芽を出して花を咲かせた状態のポット苗が出回るので、そんな芽出し球根を使うと寄せ植えが手軽に作れます。
花色は鮮やかではっきりしたものから、パステル色や複色系の優しい色合いの品種もあります。花のサイズも大輪から小輪のものまで豊富に揃います。アネモネは切り花としても大変人気があります。
▼アネモネの詳しい育て方はこちら
▼渋谷園芸の樺澤智江さんに教わったアネモネの寄せ植えはこちら
ラナンキュラス ~キンポウゲ科 半耐寒性多年草(球根)~
ラナンキュラスは、幾重にも重なった繊細な花びらが魅力的な球根植物。アネモネと同じようにとても華やかで切り花としても人気が高い花です。花色や花の形も変化に富み、花色は白、ピンク、赤、紫、黄色、オレンジ、アプリコット色、複色などがあります。
ラナンキュラスは球根を秋に植えると春に咲きます。2月頃にアネモネと同じく芽を出して花を咲かせた状態の苗が出回るので、それを使うと寄せ植えが作りやすいです。花は5月頃まで咲きます。
▼ラナンキュラスの詳しい育て方はこちら
ムスカリ ~ユリ科 耐寒性多年草(球根)~
ムスカリは春にブドウのようなユニークな花を咲かせる球根植物です。秋に球根を植えると春に咲きます。草丈は15cmくらい。秋に作る寄せ植えの株元にムスカリの球根を植えておくと、まだ寒い早春に芽が出てくるので毎年嬉しい気持ちになります。花色は青、紫、白、黄、ピンク、複色など様々あります。2月頃には芽出し球根が出回るので、芽出し球根の苗を使っても寄せ植えを作ることができます。
ムスカリは品種によってそれぞれ咲き方や大きさも違います。植えっぱなしでも自然に分球して増えて毎年花を咲かせてくれるので育てやすい球根植物です。
▼ムスカリの詳しい育て方はこちら
▼ムスカリの関連記事はこちら
ネモフィラ ~ムラサキ科 耐寒性一年草~
ネモフィラは少し花をつけた状態で1月~2月頃に店頭に並び、3月~5月頃愛らしい花を次々とこんもり咲かせます。花色は鮮やかなブルーが代表的ですが、水玉模様の白花、斑点のある黒花など様々あります。
国営ひたち海浜公園の丘など、広い場所に栽培されたネモフィラのブルーの花畑は今では春の風物詩となっています。
▼ネモフィラの詳しい育て方はこちら
▼ネモフィラを使った寄せ植えはこちら
冬の寄せ植えのデザイン例
12月はクリスマス気分を盛り上げる寄せ植えを作ろう
冬の間も美しく咲くガーデンシクラメン、ビオラ、イベリスに、クリスマスツリーとなるコニファーとカルーナを合わせ、真っ白なシルバーリーフのシロタエギクを添えました。クリスマスカラーの赤と緑に、雪のイメージの白をプラスしています。
スペースがある場合は、大きな鉢を選んで背の高いコニファーやモミの木を植え、その株元に草花を植えるのもいいですね。置く場所によってコニファーのサイズを変えたら、小さなものから大きな寄せ植えまで作れます。玄関やお庭に飾ると一気にクリスマスムードを楽しめます。
▼ガーデンセンターさにべるの間室みどりさんに教わったクリスマスの寄せ植えはこちら
写真はリース型の器に草花を植えた、育てるクリスマスリースです。実が可愛いチェッカーベリーとガーデンシクラメンの赤、イベリスとカルーナの白、ハツユキカヅラの淡いピンクグリーンを合わせました。クリスマス期間はお好みのリボンを付けて華やかに飾ってもいいですね。お正月が来たら、リボンを水引や松、和風の小物などに取り換えると、お正月モードでも飾れます。
▼クリスマスにもお正月にも使えるリースの作り方はこちら
1月は良い年を迎える願いを込めて寄せ植えを飾ろう
寒さに強くて、お正月の雰囲気にぴったりな草花といえば、ハボタン。写真はヴィンテージテイストのハボタンとフリンジ系のハボタンをメインに、シャビーカラーのプリムラ、フリルパンジー、バラ咲きのバコパを合わせました。カラーリーフは、リシマキア’シューティングスター’、コクリュウ、ヘーベ、ラミウムなどのダークカラーでしぶめなアクセントを加えています。
さらに、南天(なんてん)の赤い実(切り花)をピックのようにさしています。南天(なんてん)は難を転ずることにも通じるとされ、縁起木、厄よけ、魔よけとして古くから親しまれている常緑低木です。お正月があけたら抜き取れば、普通の冬の寄せ植えとして楽しめます。
写真は、紫と白のミニハボタンをメインに、黄色いビオラとオウゴンカズラ、ロータス・ブリムストーン、白のイベリスとハート型のアイビーを合わせています。アイアンバスケットにグリーンのココヤシファイバーと不織布を敷いて植え付けています。壁にかけても地面に置いても飾れる寄せ植えです。
写真は、ハート型の器に紫と白ベースのミニハボタンを全体的に植え、アイビーを株分けしたものを数か所に植えて、葉茎で流れるような動きを出しています。ハボタンは、春になると株の中央から花茎が伸びて黄色い花を咲かせます。そうなるとリースの形もくずれて美しくなくなるため、植え替え時です。
2月は早春を感じる寄せ植えを作ろう
2月になるとヒヤシンスなどの秋植え球根が芽を出した状態のポット苗が園芸店に並び、春がそこまで来ていることを感じて嬉しくなります。まだ蕾の芽出し球根を使って寄せ植えを作ると、写真のように小さな森のような景色ができます。晴れて少し寒さが和らぐような日に、少しずつ生長して花茎が伸びます。
写真の寄せ植えでは、アネモネ、ヒヤシンス、ムスカリの芽出し球根をメインに使い、わき役としてイングリッシュデージーやあまり背の高くならない小葉のカラーリーフ類を使いました。小花が咲くカラーリーフも使っています。(シレネ・ユニフローラ、ロータスブリムストーン、ベロニカ・オックスフォードブルー)春になるとメインもわき役も勢いよく育ってにぎやかになり、まるで違う雰囲気の寄せ植えに変わっていきます。
これはまた別の寄せ植えですが、ヒヤシンスとアネモネが咲き進み、華やかな寄せ植えになった様子です。ピンクのクモマグサ、セダム、クッションブッシュを合わせています。
冬の寄せ植えの管理ポイント
置く場所
寄せ植えは、屋外の風通しの良い日なた~半日陰に置きます。日当たりを好む花は日陰に置くと咲きにくくなるので注意しましょう。
水やり・肥料
土が乾いたら株元にたっぷりと水を与えます。背丈が低いプリムラなどは、水やりの際に花に水がかかりやすいですが、花が傷んでしまうのでなるべく株元に水やりし、花に水がかからないようにしましょう。水やりは土が凍ってしまわないように、日中の暖かい時間帯に行います。
植え付けるときに肥料入りの培養土を使った場合は、1カ月後から液肥や固形肥料を与えましょう。
花がら取り
咲き終わった花(花がら)や古い葉は、見た目も悪く病害虫の発生の原因となるので早めに取り除きます。花がらを取ることで、次の花が咲きやすくなります。例えば、パンジー・ビオラは咲き終わると花びらが丸まってきてしおれます。しおれてきた花を摘み取ると次の花が次々と咲きます。真冬は生長がゆっくりで咲きにくくなることがありますが、春になると勢いを取り戻します。
花後の管理
冬は、寒さに強い花を使って寄せ植えを作ります。春になると、暖かさで生長が速くなり寄せ植え全体のボリュームがアップします。少しカットして草姿を整え、風通しを良くしましょう。ハボタン、パンジー・ビオラなどは、暑くなってくると花姿が乱れて元気もなくなってくるので植え替えましょう。多年草は別の寄せ植えを作るときに使ったり、庭に植えると引き続き楽しめます。ガーデンシクラメンは夏越しを上手に行えば翌年も咲きます。
▼寄せ植えの植え替え方法はこちら
また、球根類はスイセン、ムスカリ、原種のチューリップなどのように、花後数年植えっぱなしでも育つタイプのものと、園芸品種のチューリップのように、できたら毎年新しい球根を植えた方が美しく咲くものや、掘り起こして乾燥させて保管しておいた方がよく育つものなど様々あります。それぞれの最適な管理方法を知っておくと翌年も花を楽しめます。
▼秋植えの春咲き球根についてはこちら
冬にも園芸店にはガーデンシクラメン、パンジー・ビオラ、プリムラなど様々な色とりどりの花が並びます。冬の寄せ植えは生長がゆっくりなので、春夏に比べてお手入れはとっても楽です。寒さに強い花を使って寄せ植えを作って玄関やお庭、ベランダなどよく目につく場所に飾っておくと、ふと見た時に明るい気持ちになったり、癒されたりして元気をもらえます。
冬は寒くて寄せ植えを作る気持ちになるのが難しいかもしれませんが、園芸店に並ぶ可愛い花を見たらきっと作りたくなりますよ。私はそうです。(笑)冬の晴れ間にささっと作るのもいいですし、寄せ植え教室で楽しく寄せ植えを作って持ち帰ったりするのもおすすめです。
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「冬の寄せ植え|おすすめの花、作り方と管理のコツ」の記事をみんなにも教えてあげよう♪