春の花木特集|2月、3月、4月に咲く「木に咲く花」35選
金子三保子
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木に咲く花や足元に咲く草花が咲き誇る春。今回は春の花木の中から代表的なものや花もかわいい果樹をご紹介します。少し時間をとって花見散歩に出かけてみませんか。
*開花の時期は東京での開花を目安としています。
目次
早春(2月)に咲く春の花木
蠟梅(ロウバイ)
開花時期:12月~2月
蝋でできたような花を咲かせる蝋梅は、12月~2月が開花時期の落葉低木。蝋梅の魅力と言えばその香り。花が少ない冬に甘い香りを漂わせながら咲く姿はとても目立ちます。
山茶花(サザンカ)
開花時期:11月~2月
山茶花は花の少ない冬から早春に開花するツバキ科の常緑低木。紅葉の頃から2月にかけて開花します。
よく似た花、山茶花と椿は2月頃だとどちらも開花していますが、花の開花時期なら見分けるのは簡単です。花ごと落ちる椿に対して、山茶花は写真のように花びらがバラバラと一枚ずつ落ちるので、株元付近の落ちた花で見分けることができます。
椿
開花時期:11月~4月
椿は日本を代表する花木で海外でも非常に人気の高い常緑高木。たくさんの種類があり、寒椿(カンツバキ)と呼ばれる種の開花時期は11月~2月ですが、3月~4月の春に咲く椿も多数あります。一重から八重咲きなど咲き方もさまざま。色も豊富にあり、たくさんの品種があります。
梅
開花時期:1月~3月
花木の代表のような梅はバラ科の落葉高木。冬の終わりから早春にかけて香りの良い花が開花します。梅には白梅から紅梅まで、さまざまな品種があります。また、花を楽しむ「花梅」と初夏の実を楽しむ「実梅」に分けられます。
万作(マンサク)
開花時期:2月~3月
万作はまだ寒さが残る2月頃から、印象的な黄色い花を咲かせ、いち早く春の訪れを告げてくれる日本原産の落葉低木。花だけでなく、丸い葉は青葉や紅葉も魅力的で、庭木としても人気があります。花には香りがあり、まず花が咲いた後に葉が芽吹くため、そのほかの木々が落葉中の2月に咲く黄色い花と香りはとても目立ちます。
木瓜(ボケ)
開花時期:12月~5月
木瓜は冬から春にかけて梅のような花を咲かせる落葉低木。盆栽としても庭木としても人気の高い花木です。一般に早春から咲き始めるものが多いですが、冬から咲き始める寒木瓜や四季咲きの品種もあり、四季を通じて楽しむこともできます。品種が豊富で単色のほか、1本の木から違った色あいの花が咲く品種もあります。
ギョリュウバイ
開花時期:11月~5月
ギョリュウバイは、オーストラリアやニュージーランド原産の常緑低木。最近、日本でも流通が盛んになってきました。花の色は、白、ピンク、赤などがあり、咲き方も一重咲きや八重咲きなど色々とあります。あたりの花が少なくなる11月頃から初夏くらいまでと長い期間開花する花木として人気です。東京くらいの気候なら地植えでも栽培可能です。
河津桜(カワヅザクラ)
開花時期:2月~3月
河津桜は品種が数多くある桜の一種。ソメイヨシノの開花より一足早い、2月中旬ごろから開花が始まります。ソメイヨシノの淡いピンクの花の色と比べると、河津桜はもう少し明るくて華やかなピンク色をしています。満開時の華やかさは一見の価値があります。ソメイヨシノより開き始めから散るまでの期間が長いのも特徴のひとつです。
3月から咲く春の花木
桜 ソメイヨシノ
開花時期:3月~4月
桜と言えば、ほとんどの方がイメージするのはソメイヨシノ。昭和の頃は「入学式の花」というイメージでしたが、温暖化の影響か、最近は「卒業式の花」になりつつあり、咲き始めから満開までが3月になる年もあります。開花期間が1週間前後と短く、華やかさとはかなさ、終わりと始まり、いろいろなことを感じさせてくれる花木です。ソメイヨシノの葉は花の散り際に芽吹くため、満開時の枝は一面花色で染まります。咲き始め、満開、散り際、どこを切り取っても絵になります。
ミモザ
開花時期:3月(品種による)
「ミモザ」とは、アカシア属のなかでも黄色の房状の花をつける種類の俗称です。特にギンヨウアカシアは、庭木としても切り花としてもとても人気のある植物で花の開花は3月です。花もかわいいミモザですが、シルバーグリーンの葉も美しく、3月の花の時期以外の葉だけの季節も美しい花木です。高木なので地植えにすると最終的にはとても大きくなります。ミモザはたくさんの種類があり開花時期が春以外のものもあります。
白木蓮(ハクモクレン)
開花時期:3月~4月
学名だと「マグノリア」のモクレン、ハクモクレン、コブシ。植物的には仲間ですが、見た目や開花時期などが若干違います。
一般的にモクレンと呼ばれるのは紫色の紫木蓮(シモクレン)。紫木蓮の花丈は5m前後ですが、白木蓮は数十メートルサイズになる高木です。開花の時期は、白木蓮→木蓮→コブシの順に開花する年が多いです。
木蓮(モクレン)
開花時期:3月~4月
一般的に木蓮というと写真のような紫色の紫木蓮(シモクレン)をいいます。木蓮は5m前後の低木です。色が紫色ならすべてが木蓮かというとそうではなく、例えばサラサモクレンは、白木蓮と木蓮の交雑種で、両者の中間的な花の形や色をしています。
コブシ
開花時期:3月~4月
白木蓮とコブシの見分け方で簡単な方法は、花びらの枚数。コブシは6枚であるのに対して白木蓮は9枚です。また、コブシは下から見ると花芯が見えるのに対して、上向きに咲く白木蓮は花芯は見えません。
沈丁花
開花時期:3月~4月
沈丁花は、香り高い花を咲かせるジンチョウゲ科の常緑低木。小さな花が塊になって枝先に咲きます。花より香りで近くに咲いているなと気付くくらい良い香りの沈丁花。写真のような白花や葉が斑入りなどいくつかの品種があります。
ヒュウガミズキ
開花時期:3月~4月
ヒュウガミズキは、マンサク科の落葉低木。川沿いなど公共空間の植栽にもよく使われる花木です。3月~4月にかけて淡い黄色の花がうつむいたような姿で開花します。派手さはありませんが楚々としてかわいらしい花です。花だけでなく新緑も美しく、秋も美しく紅葉します。
クロモジ
開花時期:3月~4月
クロモジは、3月~4月に淡い黄色の小さな花を咲かせる落葉低木。お茶の席で出される和菓子などに使われる、皮がついたままの爪楊枝は、クロモジが材料となっています。西日本では、爪楊枝の事を黒文字と呼ぶ地域もあるようです。クロモジの楚々とした雰囲気は、和風の庭やナチュラルガーデン、雑木風の庭に相性が良い花木です。若葉、青葉、花、紅葉と四季を通じて見どころが豊富です。
ユキヤナギ
開花時期:3月~4月
3月~4月に白い小さな花がしだれるように枝にびっしりと咲く雪柳。性質がとても強く、管理も楽なため、公共空間にも多く植栽されています。以前は雪柳の色は白のみでしたが最近はピンクの新種も出てきました。
レンギョウ
開花時期:3月~4月
レンギョウは、3月から4月に枝一面に黄色い花が開花する落葉低木。まず初めに花が開花し、花の終わりごろに葉が出てくるので、花の咲き始めは枝全体が黄色でとても華やかな見た目です。病害虫にも強く、庭木としてのほか、公園などの公共スペースにも植栽されています。
ユスラウメ
開花時期:3月~4月
ユスラウメは、春に梅や桜に似たかわいい花を枝いっぱいに咲かせ、初夏にさくらんぼのような真っ赤な小さな果実を実らせる落葉低木。丈夫で育てやすいため、庭木としてもおすすめの果樹です。熟した果実は生食でき、甘酸っぱい味がしてジャムなどに用いられます。
4月に咲く春の花木
桜
一葉
開花時期:4月
数えきれないくらいたくさんの品種が存在する桜。ソメイヨシノが散ったころから咲き始める桜も多数あります。ソメイヨシノの満開の姿を見逃したら、4月が見ごろの桜を見に出かけてみませんか。東京にある新宿御苑は1年中、さまざまな桜の品種に出会うことができるスポットです。
リキュウバイ
開花時期:4月~5月
リキュウバイは中国原産の落葉低木で、春に美しい白い花が開花します。清楚な雰囲気の花は、茶花としても愛されてきた花木です。耐寒性に優れ、公園樹としてもよく植栽されています。庭に植え付けることをお考えの方は、単幹と株立ちでは見た目が大きく違うので、好みの樹形のものを選びましょう。
ハナミズキ
開花時期:4月~5月
ソメイヨシノの開花が終わった頃から花を咲かせるハナミズキ。見ごろは4月から5月にかけてです。伸びやかに広がる枝に白やピンクの花が咲いている姿はとても美しく、庭木や街路樹でもよく使われている花木です。
ツツジ
開花時期:4月~5月
庭木や街路樹などでよく使われる花木、ツツジ。刈り込みに堪えることから、生垣としても利用されます。花の時期はハナミズキと同じくらいの時期。ハナミズキの足元にツツジが植えられていることも多く、白いハナミズキと華やかなピンクのツツジは春から初夏の街路樹としてよく見かける色あいです。ツツジとサツキはよく似ていますが、ツツジの方が開花が早く4月頃、サツキは5月に開花します。また、ツツジは花がいっぺんに開花しますが、サツキは徐々に開花するため見分けることができます。
モミジ
開花時期:4月
圧倒的に花より葉が注目されるモミジですが、今回はあえて花木として紹介します。モミジの花は4月頃、線香花火みたいな小さな花を無数に咲かせます。とても小さくて正直、地味な花ですが、近づいてよく見てみると、なんともかわいらしい花の形をしています。今年は春のモミジにもご注目ください。
ハナカイドウ
開花時期:4月~5月
ハナカイドウは、カイドウとも呼ばれるバラ科の落葉低木。低木といっても5mくらいにはなります。色は白からピンク系濃淡まで品種が豊富な花木です。写真のようにつぼみもかわいらしい姿をしています。色にもよりますがつぼみの色と開花した時の色の変化もまた魅力的です。
コデマリ
開花時期:4月~5月
コデマリはバラ科の落葉低木。株元から多くの枝を出し、高さ2mほどの株立ちになります。1cmに満たない白い小花が複数集まって3cmほどの小さな手まりのような丸い花姿になり、別名テマリバナとも呼ばれます。
山吹(ヤマブキ)
開花時期:4月~5月
山吹は4月から5月に美しい山吹色の花を枝一面に咲かせる落葉低木。日本原産の木なので全国で見ることができます。花は一重の他、八重もあります。
白山吹(シロヤマブキ)
開花時期:4月~5月
白山吹は山吹の花に似た白い花を咲かせるバラ科の落葉低木。同じ季節に咲く山吹の花に似ていることから名づけられましたが、山吹とは植物分類的には別種です。山吹は枝一面に花が開花するのに対し、白山吹は枝先に花が開花するため、開花中、葉も目を引く花木です。花が咲いた後に、4つの黒い実をつけ、翌年の花が咲いた時も前年の実がついていることもあります。適した場所に植栽すれば丈夫で育てやすく、特別な手間が必要ないため、庭木の他、公園樹としても植栽されています。
ドウダンツツジ
開花時期:4月~5月
ドウダンツツジは、春にスズランに似た白いつぼ型の小さな花を咲かせる落葉低木。自然樹形の他、刈り込みに堪えるので生垣などにもよく利用されています。洋風にも和風にも合うので利用範囲が広い花木です。
モッコウバラ
開花時期:4月~5月
モッコウバラは中国原産の常緑低木で一季咲きのつるバラ。非常に強健で、病害虫の被害が少ない育てやすいバラのひとつです。花色は白かカスタードクリームのような淡い黄色で、咲き方には一重と八重咲きがあります。生育旺盛で10mくらいにまで生長します。花が終わったら早めに剪定を行い樹形を整えることと、適宜誘引を行い枝が暴れないように管理する必要があります。
ハナズオウ
開花時期:4月
ハナズオウはマメ科の落葉樹。4月に葉より先に小さな花を枝一面に密集して咲かせ、花が終わったあとにハート型のかわいらしい葉が芽吹きます。花の後には種のサヤができて緑色から褐色に変化し、春先まで枝に残ります。花色はピンクの他、白もあります。
トキワマンサク
開花時期:4月~5月
トキワマンサクはマンサク科の常緑樹で、樹高は5m近くにまでなります。花は枝先にいっせいに咲くので、遠くから見ると木全体が花に覆われているように見えるほどです。洋風・和風どちらの雰囲気にも合い、丈夫で育てやすいため、庭木のほか、生け垣や街路樹、公園樹などさまざまなシーンに利用されます。トキワマンサクの花びらは葉よりも細く、花びらの先はくるりと丸まって反り返り、その集合体が花となっている一風変わった形をしています。
ブルーベリー
開花時期:4月
ブルーベリーはツツジ科の落葉低木。低木なのでベランダや鉢植えでも育てやすい果樹のひとつです。果実だけでなく、かわいらしい花や紅葉も楽しめるので、四季折々のみどころが満載です。花は4月に白いつぼ型の花が木一面に開花します。ブルーベリーは1品種の苗木でも結実しなくはないですが、たくさん収穫したいなら同一系統の2品種を植えるとよいでしょう。
ジューンベリー
開花時期:4月
ジューンベリーは名前の通り6月に赤い果実をつける落葉樹。春から初夏の気温が昔に比べて高い最近は、東京周辺では5月中旬くらいから食べごろになる年が多いようです。4月に白い花が咲いた後に、初夏に赤い実が実ります。花や実以外にも、新緑や秋の紅葉と四季折々に楽しむことのできる果樹です。自家結実性があるため、一本で実を収穫することができます。
クラブアップル
開花時期:4月~5月
絵本作家でもあり、園芸家でもあった、有名なターシャ・テューダーのお庭にもあったクラブアップル。食用というよりは、園芸種の小さなリンゴです。初夏に花が咲いた後、秋に小さなかわいい実がなります。クラブアップルにはたくさんの品種があり、品種によって花の色や樹形などが異なります。花の色は白やピンクの濃淡、咲き方は一重のほか、八重咲き種もあります。
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