多年草とは?一年草や宿根草との違い、育てやすい花やハーブの種類一覧
山田智美
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多年草ってどういう意味?宿根草や一年草との違いをわかりやすく説明します。さらに育てやすい多年草を春、夏、秋、冬、ハーブに分けて紹介します。
目次
多年草とは?意味を簡単に説明
多年草とは、発芽、生長してから数年生育を続ける草花のこと。植物の種類によって数年から十年以上と寿命に差があります。
多年草には1年中緑を絶やさない常緑性多年草と、夏や冬に休眠する多年草があります。
多年草のなかには、発芽から開花までに数年を要する種類もあります。クリスマスローズやセージなどは、ある程度まで株が大きくならないと花を咲かせません。すぐに花が咲かないからといって焦らずに様子を見ましょう。
多年草と一年草、宿根草の違い
多年草と一年草の違い
一年草と多年草の違いは、何年も楽しめるか、1年で枯れてしまうかです。
一度植えつけたら、何年も花を楽しめる多年草はガーデニングの強い味方。かと言って毎年同じ花ばかりでは見飽きてしまうかもしれません。
植えてすぐに花を楽しめ、後腐れなく枯死していく一年草は、季節ごとの着替えのような楽しみになります。
多年草と一年草をバランスよく植え付けると、眺める楽しみと育てる楽しみの両方を味わえます。
多年草と宿根草の違い
多年草と宿根草の違いはありません。宿根草は多年草に含まれます。
常緑の多年草と区別して、冬や夏に地上部を枯らす種類のことを宿根草と呼んだりします。
多年草でも宿根草であることを理解しておけば、休眠期に入ったときに「枯れてしまった」と慌てずに済みます。
育てやすい多年草|春13種
春に開花する育てやすい多年草を紹介します。
アネモネ
- 開花期:2月~5月
アネモネは、キンポウゲ科の球根植物。紫や白、ピンク、グリーン、複色など花色が豊富。鮮やかな花びらの色と花芯の暗色の対比が魅力的な花です。
オオアマナ(オーニソガラム)
- 開花期:4月~5月
オオアマナは、オーニソガラムの仲間の球根植物。晩春に星のようなかわいらしい花を咲かせます。夏には地上部を枯らしますが、翌春にまた花を咲かせます。
原種チューリップ
- 開花期:3月~5月
原種チューリップは、ユリ科の球根植物。チューリップのなかでも野生種やそれに近いものを原種チューリップと呼びます。改良種と違い、花が小ぶりなものや草花のような印象の品種が多いのが特徴。一度植え付けをしたら、大した手入れをせずとも数年は花を楽しめます。
クロッカス
- 開花期:2月~4月
クロッカスは、まだ寒い早春から花を咲かせる球根植物。花色は紫や黄色、白などがあり、お庭を明るくしてくれます。群生している姿はとても見事です。
シラー
- 開花期:3月~5月
シラーは、キジカクシ科の球根植物。小花をベルのようにぶら下げて咲く姿がかわいらしく人気があります。植えっぱなしで毎年開花します。
スズラン
- 開花期:4月~5月
スズランは、キジカクシ科の球根植物。春に芳香のある白い花を咲かせます。小さなベル型の花を連ねるように咲かせる姿がかわいらしく、人気があります。ほったらかしでもよく花を咲かせます。分球で増えていきます。
スノーフレーク
- 開花期:3月~4月
スノーフレークは、ヒガンバナ科の球根植物。俯くようにベル型の白い花を咲かせます。分球して増えていくので気が付くと群生していることも。植えっぱなしで毎年楽しめます。
スミレ
- 開花期:3月~4月
スミレは、スミレ科の多年草。山野や道端などの身近な場所で見かけます。濃い紫色が印象的な春を代表するような花です。
ニリンソウ
- 開花期:4月~5月
ニリンソウは、キンポウゲ科の多年草。真白な楚々とした花を咲かせます。2輪並んで咲くのでニリンソウというのが名前の由来ですが、1輪で咲いているのもよく見かけます。
ハナニラ(イフェイオン)
- 開花期:3月~4月
ハナニラは、ネギ科の球根植物。春に星のような花を咲かせます。葉にニラのような香りがあるのが名前の由来ですが、食用にはできません。ほったらかしでも分球でよく増え、毎年花を楽しめます。
ヒヤシンス
- 開花期:2月~4月
ヒヤシンスは、キジカクシ科の球根植物。香りの良い花を咲かせます。水耕栽培も容易なことから人気のある花です。球根を暗いところで管理し、しっかりと寒さに当てると2月頃から開花します。
ベロニカ
- 開花期:4~11月
ベロニカは、オオバコ科の多年草(一部一年草もある)。青や紫、白、ピンクなどの花を咲かせます。すっと伸びた細身のフォルムが美しく、花壇の中で縦のラインを強調するのに重宝します。
ムスカリ
- 開花期:3月~5月
ムスカリは、キジカクシ科の球根植物。ブドウを逆さにしたようなフォルムの花がかわいらしく人気があります。関東では露地植えでも2月半ばから咲き始めます。分球して毎年花を増やしていきます。
育てやすい多年草|夏16種
夏に開花する育てやすい多年草を紹介します。
アガパンサス
- 開花期:6月~7月
アガパンサスは、ヒガンバナ科の球根植物。草丈1mほどまで生長し、青や白の涼しげな花を咲かせます。
アスチルベ
- 開花期:5月~9月
アスチルベは、ユキノシタ科の多年草。初夏から夏に白やピンクの優しい印象の花を咲かせます。
ギボウシ
- 開花期:6月~8月
ギボウシは、日陰を好むユリ科の多年草。葉の美しさが人気ですが、初夏に咲く花の美しさも魅力です。
キキョウ(桔梗)
- 開花期:6月~10月
キキョウは、キキョウ科の多年草。秋の七草に数えられていますが、夏から秋にかけて花を咲かせます。青や紫の星型の花が魅力です。
クロコスミア
- 開花期:7月~8月
クロコスミアは、アヤメ科の球根植物。赤やオレンジ、黄の暖色系の花を咲かせます。日当たりが良ければ土壌はあまり選びません。植えっぱなしで毎年花を咲かせます。
ジャーマンアイリス
- 開花期:5月~6月
ジャーマンアイリスは、アヤメ科の多年草。他のアヤメの仲間よりも大きく花色が豊富なのが特徴です。
シャガ
- 開花期:4月~6月
シャガは、アヤメ科の常緑多年草。木漏れ日が入るような半日陰を好み、群生している姿が美しい花です。
芍薬(シャクヤク)
- 開花期:5月~6月
芍薬(シャクヤク)は、ボタン科の多年草。たっぷりとした花びらを幾重にも重ね、豪華な花を咲かせます。
シラン
- 開花期:4月~6月
シランは、ラン科の多年草。うつむくように花を咲かせる姿が美しい草花です。晩春から初夏にかけて開花します。シランの花色には赤紫と白があります。
スイカズラ
- 開花期:4月~7月
スイカズラ(忍冬)は、スイカズラ科の半落葉性つる植物。日本の山野に自生しているくらい、育てやすいのが魅力です。甘く優しい香りの花を咲かせます。
タマスダレ(玉簾)
- 開花期:7月~9月
タマスダレは、ヒガンバナ科の球根植物。夏に白い花を咲かせます。公園や花壇など、身近な場所で見かけます。
トケイソウ(時計草)
- 開花期:5月~10月
トケイソウは、トケイソウ科のつる植物。夏に印象的なフォルムの花を咲かせます。パッションフルーツはトケイソウの仲間です。
ヒューケラ
開花期:5月~7月
ヒューケラは、ユキノシタ科の常緑多年草。耐陰性が強く、葉の色が豊富なのでシェードガーデンで人気です。初夏に小さな花を咲かせます。
ホタルブクロ
- 開花期:6月~7月
ホタルブクロは、キキョウ科の多年草。釣り鐘型の花を咲かせます。日向から明るい日陰までいろんな場所でよく育ちます。
ハンゲショウ
- 開花期:6月~7月
ハンゲショウは、水辺や湿地に自生するドクダミ科の多年草。花のように見える部分は苞で、花は中心の穂の部分です。
メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)
- 開花期:6月~10月
メドーセージは、深い青紫色の花が印象的なシソ科の多年草。夏から秋まで鮮やかな色の花を咲かせ続けます。
育てやすい多年草|秋8種
秋に開花する育てやすい多年草を紹介します。
アメジストセージ(サルビア・レウカンサ)
- 開花期:9月~11月
アメジストセージは、シソ科の多年草。セージの仲間ですが、食用にはできません。草丈高く生長し、秋に紫やピンク、白の花を咲かせる姿は見事です。ほったらかしでも毎年花を楽しめますが、大きくなるので適宜剪定を行うようにしましょう。
オミナエシ
- 開花期:7月~10月
オミナエシは。スイカズラ科の多年草。秋の七草の一つです。黄色い小花を集合させたような花を咲かせます。独特の香りが苦手という人も多いようですが、群生する姿が美しい花です。
シクラメン・ヘデリフォリウム
- 開花期:9月~12月
シクラメン・ヘデリフォリウムは、原種のシクラメンです。秋から冬に花を咲かせます。花はシクラメンそのものですが、サイズが小ぶりでかわいらしい花です。ほったらかしでも分球で増え、よく開花します。
シュウメイギク
- 開花期:9月~11月
シュウメイギクは、キンポウゲ科の多年草。菊の仲間ではありません。秋に白やピンクの花を咲かせます。風に揺れる楚々とした姿が美しい花です。
フジバカマ
- 開花期:8月~10月
フジバカマは、秋の七草に数えられるキク科の多年草。淡い紫色の優しい花を咲かせます。日本に昔から自生していた Eupatorium japonicum は絶滅危惧種になっており、近縁種の Eupatorium fortunei が流通しています。
ホトトギス
- 開花期:7月~10月
ホトトギスは、ユリ科の多年草。夏から咲き始めますが、花の盛りは秋です。花びらの模様が個性的な花です。
リンドウ
- 開花期:9月~11月
リンドウは、リンドウ科の多年草。秋に青紫やピンク、白などの花を咲かせます。9月頃から咲き始め、秋も深まる11月頃まで花を楽しめます。
ワレモコウ
- 開花期:6月~10月
ワレモコウ(吾亦紅)は赤茶や白の花穂を持つバラ科の多年草。草丈高く、秋の風にそよぐ姿には風情があります。株で大きくなるので、群生する姿は見事です。
育てやすい多年草|冬3種
冬に開花する育てやすい多年草を紹介します。
ガーデンシクラメン
- 開花期:11月~4月
ガーデンシクラメンは、サクラソウ科の球根植物。耐寒性があるので、寒い冬に屋外で育てられるシクラメンです。赤やピンク、白などの明るい色の花を咲かせます。冬の花壇の強い味方です。
クリスマスローズ
- 開花期:1月~4月
クリスマスローズは、キンポウゲ科の常緑多年草。クリスマスの頃に咲くニゲルは12月、レンテンローズと呼ばれる種類は2月~4月頃に開花します。花色はピンクの他に白や紫、茶、オレンジなどもあります。
スイセン(水仙)
- 開花期:1月~4月頃
水仙は、ヒガンバナ科の球根植物。まだ寒い頃から香りの良い花を咲かせます。1月~2月に群生している姿を見かけると嬉しくなります。
育てやすい多年草|ハーブ10種
育てやすい多年草のハーブを紹介します。
キャットミント(ネペタ)
- 開花期:4月~10月
キャットミントは、淡い紫色の花が可愛いシソ科の多年草。猫が酔ったようになることでも有名なハーブです。
コモンセージ
- 開花期:5月~7月
コモンセージは、地中海沿岸原産のシソ科のハーブ。晩春から初夏にかけて紫色の花を咲かせます。
サラダバーネット
- 開花期:5月~6月
サラダバーネットは、バラ科の多年草。青みがかったグリーンの葉が美しいハーブです。葉にはほのかにキュウリのような香りがあり、サラダや薬味に利用できます。生長するとピンクやグリーンのかわいらしい花を楽しめます。
センテッドゼラニウム
- 開花期:品種による
センテッドゼラニウムは、フウロソウ科の多年草。葉茎に芳香のあるハーブです。センテッドゼラニウムのなかでもローズゼラニウムの香りは、女性ホルモンに働きかけるとも言われています。気分をリラックスさせてくれるようなハーブです。
チャイブ
- 開花期:6月~7月
チャイブは、ヒガンバナ科の球根植物。ネギの仲間のハーブです。葉を細かく刻んで薬味にしたり、サラダにしたりと利用できます。初夏に薄紫やピンクの花を咲かせます。
フェンネル
- 開花期:6月~8月
フェンネルは、セリ科の多年草。葉茎に甘い芳香のあるハーブです。ウイキョウという名前で生薬としても利用されています。1m以上の大型になるので、スペースをしっかり確保して植えつけましょう。
マロウ(コモンマロウ)
- 開花期:5月~7月(品種による)
マロウは、アオイ科の多年草。色鮮やかな花を咲かせます。コモンマロウの花はハーブティーにすると鮮やかな青になります。
ミント
- 開花期:7月~9月
ミントは、シソ科の多年草。清涼感ある香りが人気のハーブです。地下茎でどんどん増えていく強健さと育てやすさも人気の理由です。ミントには、ペパーミント、アップルミント、パイナップルミントなどたくさんの種類があります。
レモンバーム(メリッサ)
- 開花期:6月~7月
レモンバームは、シソ科の多年草。葉茎に爽やかな香りがあるハーブです。メリッサという名前でも流通しています。メリッサの精油は希少価値が高く、高価なことでも有名です。
ワイルドストロベリー
- 開花期:4月~7月
ワイルドストロベリーは、バラ科の多年草。イチゴを小型にしたような見た目がかわいらしいハーブです。葉はハーブティーとして利用します。果実は生食には向きませんが、砂糖とレモン汁で煮込めばジャムにできます。種に苦みがあるため、裏ごしして種を取り除くと食べやすくなります。
多年草は1度植えつけたら何年も楽しめる草花。長いお付き合いになることを理解して、好みの多年草を見つけてください。
毎年同じ季節が巡ってきたことを知らせてくれる多年草。育てて、自宅でゆったりと季節の移ろいを感じてみませんか。
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